りそなホールディングスがトップ刷新に踏み切った。4月1日付けで、持ち株会社社長と傘下の二つの銀行社長の3トップを同時に入れ替える。グループトップとして新たに指揮を取る南昌宏氏は、平成元年入行の54歳だ。大手銀の中で異例の若さを誇る新社長には、地方銀行との連携強化など難題が待ち受けている。(ダイヤモンド編集部 田上貴大)
りそなが7年ぶりにトップ交代
東和浩氏に代わり本命新社長が登板
「あと1年はやるのではないかと思っていた」。りそなグループのある役員はこう打ち明けた。
1月31日、国内大手銀行グループのりそなホールディングス(HD)は7年ぶりの社長交代を決めた。4月1日付けで、東和浩社長の後任としてりそなHD社長に就任することが決まったのは南昌宏取締役。平成元年(1989年)入行の54歳と、大手銀行グループではもっとも若いリーダーとなる。2003年の公的資金の注入で実質国有化となったりそなは、同じタイミングで委員会設置会社に移行。「大手銀行の中でいち早くガバナンス強化の体制を整えた」(金融庁幹部)との評もあるだけに、「東氏や社外取締役が長期政権によるガバナンスの劣化を避けるため、早めの交代に踏み切った」と前出の役員は語った。
同時にりそな銀行社長には岩永省一取締役、埼玉りそな銀行社長には福岡聡取締役が就くと発表。いずれも南氏と同じ平成元年入行で、同期3人がグループの次世代を率いる体制となった。
東氏は、7年にわたってりそなHD社長とりそな銀社長を兼務。実質国有化直後に財務部長に就任すると、その後のCFO(最高財務責任者)時代を通して、公的資金の返済に奔走した。社長時代の15年6月に完済にこぎ着け、ようやく“独り立ち”に至った。東氏は代表権のない取締役会長となり、第一線から退くことになる。
新たにグループトップに就任する南氏は企画畑が長く、銀行の中枢で戦略立案に従事してきた。03年の“りそなショック”当時は、企画部の若手として連日徹夜でニュースリリースづくりに奔走していたという。
関係者によると、南氏は数年前から「東氏の後継者」として指名委員会で名前が上がっていた。企画マンとしての評価は高かったものの、現場の経験が少ないとして、17年4月にインターネットサービスとリアル店舗の融合を考えるオムニチャネル戦略部で「現場に近い部門の経験」(東氏)を積むことになったという。