「若いうちにたくさん稼げるだろうか」
「どれだけ支出を切り詰めればいいんだろう」
「老後のことを、どれだけ考えればいいのか」…
そんな不安だらけのビジネスパーソンに向けた著書『投資家みたいに生きろ ―― 将来の不安を打ち破る人生戦略』が5万部のベストセラーとなっている藤野英人氏。約30年間、ファンドマネジャーとして第一線で活躍し、7000人以上もの経営者にインタビューし、個人や企業の「成長」を見極めてきた経験を生かし、「投資家の思考」を「日々の習慣」に落とし込む方法を伝授します。(初出:2020年2月5日)

社会人になってから「成長が止まる人」の特徴【書籍オンライン編集部セレクション】藤野英人氏

人間関係で「浪費」する人

 人生を変える方法は、3つあると言われています。

「環境を変える」「時間の使い方を変える」、そしてもう1つが、「付き合う人を変える」です。

 1つ目の「環境」は、サラリーマンの場合は、すぐには難しいかもしれません。転職や起業、結婚などのイベントはそう滅多に起こりませんからね。

 2つ目の「時間」については、朝の時間を有効活用することが有効です。

 そして、3つ目の「付き合う人」について、投資家なりの視点で説明しましょう。

 人間関係において、お金や時間を「浪費しているな」と感じるのが、同世代や同じ会社での飲み会です。

 もちろん、数ヵ月に一度くらいの頻度であれば、関係を続けるためにも必要なことです。

 しかし、毎週のように同じメンバーで会って、上司のグチや同じ話ばかりしていては、行き着くのは「社畜」のような人たちです。

 一方で、年をとっても考え方が柔軟で、いつまでも若々しいなと思わされる人もいます。彼らは、職場のラクな人間関係に流されるのではなく、自分よりも遥かに若い人や年配の人とも交流をし、刺激や学びを得つづけています。

 そうやって、人付き合いを変えるだけで、人生で差が開いていくのです。

人間関係を「資産」に変える方法

 自分と「同じ世代、同じ職業、同じ性別」の人たちと付き合っていると、共通の話題も多くて話が合うし、楽しい時間になることでしょう。

 しかし、そればかりだと視野や思考がどんどん狭くなっていきます。

 投資においても、1つの企業に全資金を投じてしまうのではなく、さまざまな企業に分散させたほうがリスクを下げられます。

 人付き合いも同じです。

 そこで、年代・職業・性別を意識してズラすようにしてみましょう

 あなたがもし、「30代・銀行員・男性」であるのならば、20代や40代以上の他業界の人で、男女分け隔てなく会うようにしましょう。

 別の職業の人と会うのは、いきなりだと難しいかもしれません。まずは、違う部署の人を誘ってみたり、得意先などで少しでも共通点がある人と食事に行ってみましょう。

「自分と違う要素を持っていること」、それを意識するだけで、人間関係は劇的に変わります。

「今月は若い世代の人たちと絡んでいないな」
「流通業界の人と会ったから、次は小売業界の人の話を聞いてみたいな」

 というように、人間関係のポートフォリオを組めるようになりましょう。

 もし、同じ要素の人たちばかりの飲み会が続くようならば、思い切って断る勇気も必要です。

 人付き合いにメリットを求めるのは非常識だと思っている人もいるかもしれませんが、「これって投資? それとも浪費?」という自問自答をし、主体的に人間関係を築くことは、これからの時代に必要なことです。

同世代より大切な「同時代」

 投資家は、つねにアンテナを立てて生きています。

 私が人間関係で気をつけていることは、「私たちはみんな同時代人だ」ということです。

「同時代人」というのは、「生まれた年は違っても、今のこの時代を生きている」という意味では誰もが同じ体験をしているという思考法です。

 同世代でくくるのではなく、同時代でくくる。ちょっとした発想の転換なのですが、不思議と「同じ時代を生きる仲間」だと感じられてきます。

 社会人になってからの成長を止めないように、人間関係を変えていきましょう。