中国を中心に感染が広がる新型コロナウイルスを巡り、投資家はしばし暗中模索していたが、ここに来て影響が見通せたと考えている。大ざっぱにまとめると次のような見方だ。中国向けサプライヤー、旅行および春節(旧正月)関連株は逆風に見舞われるが、市場全体への手痛い打撃は中央銀行の措置で相殺される。また、ウイルス感染は制御され、欧米のリセッション(景気後退)を引き起こすには至らないだろう――。感染した患者や多くの死者の親族や友人が悲痛な思いをすることは脇に置くとしても、この冷血漢のような分析が根拠とする仮説は、結局のところあやふやなものであることが露呈するかもしれない。中でも大きなリスクとなるのは、今回のウイルス感染は2003年の重症急性呼吸器症候群(SARS)とは異なるパターンをたどる恐れがあることだ。今のところ、SARS流行時の金融市場への影響がモデルとして広く使われている。