「10年後には営業という概念がなくなっていると確信している」。こう話すのは、これまでベンチャーキャピタリストとして、さまざまなベンチャー投資や株式上場支援を行ってきた日本創生投資で代表取締役社長を務める三戸政和さんだ。そんな三戸さんの新刊『営業はいらない』から一部を抜粋し、テクノロジーによって実際になくなりつつある、ある営業職の実態を紹介する。
テクノロジーが営業という概念を消す
前回は、バルミューダを例に、すでに営業マンを必要としない世界が生まれているという話をした。
ただ10年後には、あらゆる企業で、営業がなくなっていると私は確信している。それは単に営業職の人がいなくなるということではなく、「営業という概念」自体がなくなることを意図している。
その兆候は、BtoCのみならずBtoB分野においても見られ、実際、アメリカでは事業コンサルティングと市場調査を手掛けるフォレスター・リサーチ社が、2015年の段階ですでに「BtoBセールスマンの死」と題した報告書を出している。
その報告書では、「アメリカのBtoB営業担当者450万人のうち、100万人が5年間で仕事を失うだろう」という衝撃的な予測が発表された。BtoB営業マンの実に22%が職を失うという、大変ショッキングなレポートである。
このレポートを詳細に見ると、BtoB営業マンの中でも特に減少が著しいのは、受注を中心とした営業職で、「160万人から100万人へ33%が減少するだろう」と記されている。また、商品説明を行う営業職は25%、顧客と個人的な関係を構築して必要な商品をナビゲートする営業職は15%が減少するという予測が立てられている。