「10年後には営業という概念がなくなっていると確信している」。こう話すのは、これまでベンチャーキャピタリストとして、さまざまなベンチャー投資や株式上場支援を行ってきた日本創生投資で代表取締役社長を務める三戸政和さんだ。そんな三戸さんの新刊『営業はいらない』から一部を抜粋し、営業が急減する激動の時代に合う経営戦略と、営業マンなしで成功する企業の例を紹介する。
100万人の営業マンが消えた
営業マン受難の時代を証明するかのように、この20年の間、営業マンの数は2001年の968万人から、2018年にはついに864万人にまで減少した。これはピーク時に比べて、約100万人の営業マンが消滅したことを意味している。
営業マンが減少している原因としては、前述したインターネットの普及のほか、流通構造の革新や合理化もその要因の一つとして考えられる。
具体的には、元卸や仲卸といった複雑な卸売構造が見直されたことや、フランチャイズシステムの発達により全国にチェーン店が普及したことなどが挙げられる。
ただ気になるのは、「営業・販売事務従事者」の数が大きく伸びている点だ。この事実を最初に指摘したのは恐らく、統計データ分析家の本川裕氏であるが(プレジデントオンライン 2019年9月9日の記事参照)、調べてみればたしかにその増え幅は実に、56万人から70万人へと14万人にものぼる。
なぜ営業職全体は減っているのに、営業事務職が増えているのか。それは足で稼ぐ従来型の「外回り型営業マン」の数が減る一方、セールステックと総称される営業支援ツールを駆使する「内勤型営業マン」が増えているためである。
営業マンは今、間違いなく激動の時代に突入している。昨今の営業活動は経済的損失を生みながら、同時に頭数が減るという事態に直面している。