営業同行で「絶対やってはいけないこと」

 課長が勤めている会社では人材育成の一環として、月に1回以上、部下の営業に同行することが求められていました。自分の同行記録を見ると、馬が合う部下の営業には月に5~6回同行しているのに、馬が合わない部下の営業では「義務」である月1回の同行にとどまっていることに気づきました。

 また、馬が合う部下の観察記録には「クライアントとの関係強化がうまい」「ニーズをよく引き出せている」といったメモ書きが並んでいるのに対し、馬が合わない部下の観察記録はほぼ真っ白。営業同行していても、関心を持って注意深く見てこなかったのです。

 これでは「得意なこと」や「長所」が見つからないのも無理はありません。

 課長は心を入れ替え、営業同行の回数を全員同一にすることにしました。そして、馬の合わない部下の営業に同行したときは、今まで以上に部下の行動を注意深く観察し、記録に残すことにしました。

 はじめのうちは、馬の合わない部下の営業同行はどことなくぎこちなかったのですが、だんだんと必要なコミュニケーションがとり合えるようになりました。次第に「得意なこと」や「長所」も見え始め、今後はそれを伸ばしてあげようと、課長は奮闘中です。

 まずは、馬の合わない部下との関わりを増やす。
 ここから始めてはどうでしょう。