イニエスタ
FUJI XEROX SUPER CUP2020で今年初タイトルを取ったヴィッセル神戸の中心に座るイニエスタ Photo:Masashi Hara/gettyimages

来日3シーズン目を迎えているMFアンドレス・イニエスタ(ヴィッセル神戸)が、早くもエンジンを全開にしている。23日に横浜FCとの開幕戦を迎える明治安田生命J1リーグに先駆けて開催された、FUJI XEROX SUPER CUPとAFCチャンピオンズリーグ(ACL)で往年を彷彿とさせる神業パスを連発。オフに届いた古巣FCバルセロナからのオファーを断り、ヴィッセルで引退したいと望む35歳のレジェンドがたぎらせる情熱の源泉を追った。(ノンフィクションライター 藤江直人)

イニエスタがカズに語った
ヴィッセルとファンへの熱い思い

 胸を高鳴らせながらホームの神戸市御崎公園球技場のピッチへ足を踏み入れただけに、肩透かしを食らった思いが強かったのだろう。来日して3シーズン目を迎えている稀代の司令塔、アンドレス・イニエスタは抱いているやるせない思いを、何とも意外な人物に打ち明けていた。

「なぜなのか、非常に少ないじゃないか、と言っていましたね」

 イニエスタからおもむろに疑問をぶつけられたのは、まもなく53歳になるJリーグの現役最年長選手、横浜FCのFW三浦知良だった。懐疑的な視線が向けられていたのは、イニエスタを擁するヴィッセル神戸が初めて臨んだ、12日のAFCチャンピオンズリーグ(ACL)の観客数だ。

 元日の天皇杯を制したヴィッセルは、悲願の初タイトルとともに今シーズンのACL出場権を獲得した。迎えたマレーシア王者、ジョホール・ダルル・タクジムとのグループリーグ初戦。約3万人を収容できるホームには、しかし、7256人のファンやサポーターしか集まらなかった。

「ヨーロッパのチャンピオンズリーグはグループリーグの初戦が大事で、大勢のファンやサポーターが入るのに、ACLでも大事なグループリーグ初戦に7000人ぐらいしか入らないのは、ちょっと寂しいともイニエスタは言っていました」

 カズがポルトガル語とイタリア語を混ぜながら必死に、イニエスタがスペイン語をわかりやすく、ゆっくりと駆使しながら、初対面にして会話を弾ませたのは14日。都内のホテルで開催された開幕前の恒例イベント、Jリーグキックオフカンファレンス2020の選手控え室だった。