シルバーモンスター高齢者のクレーマー「シルバーモンスター」が増加しています(写真はイメージです) Photo:PIXTA

驚異の親バカクレーマー!?

「お宅の商品を口にした子どもが腹痛を起こした!どうしてくれるの!?」

 突然の電話に驚きながらも事情を聞くと、おなかを壊した子どもは30代半ば、電話してきた母親は60代でした。電話は続きます。

「これが原因でうつ病になって、会社を休んで引きこもってしまった!とりあえず休業分を補償してください!」

 他にもこんなケースがありました。

 若い女性従業員に一方的に好意を寄せた男が、売り場での付きまといや帰宅途中を待ち伏せるなどのストーカー行為に至ったため、警察に相談することとなりました。警察からのアドバイスを受けて会社判断で勤務する店舗を異動。これで安心と思った数日後、男の母親が売り場までやって来ました。

「あの女性の異動先はどこになったの?以前購入した商品のことで聞きたいことがあるから、新しい職場を教えなさい。だめなら彼女の携帯番号でいいわ」

 しつこく店内をうろつき、他の従業員から連絡先を聞き出そうと迷惑行為に及びました。この男性は40代、母親は70代でした。

 クレーム対応の現場は笑うに笑えない事例も多く、あきらかに度を超えた、あきれた“親バカ”クレームも後を絶ちません。このような度を超えた親バカクレームの案件は、世代を超えて多く寄せられます。しかし、高齢者クレーマーである「シルバーモンスター」からのものが目立つように、私は感じます。

高齢者のクレーマー「シルバーモンスター」

 販売業、飲食業、医療現場、市役所などの公的機関――どの業種でも、高齢化した現代社会におけるクレームの現場は、このシルバーモンスターを避けては通れない時代になりました。

 昔のおじいちゃん、おばあちゃんの「穏やかでおおらかな」なイメージとは正反対、「いきなり怒鳴りだす」「会話が成り立たない」「話が長すぎて仕事にならない」などの印象を持っている従業員の方も多いのではないでしょうか。

 ですが、もちろんシルバーだからといって十把ひとからげにクレーマー扱いしてはいけません。お客様あっての企業であり、貧乏神や疫病神ではない大切な神様だってたくさんいます。

 私自身も数年前からシニア料金なので、わが身かわいさの意味合いもないとは言い切れませんが、ただのシルバーのお客様なのか、理不尽なモンスターなのか、慌てず判断するために事前に押さえておくべきポイントについて解説します。