テレビでもおなじみの齋藤孝 明治大学文学部教授と、今秋から朝の情報番組MCに就任することが大きな話題となっている安住紳一郎 TBSアナウンサー。TBS『新・情報7days ニュースキャスター』で司会者とコメンテーターとして共演しているふたりは、かつて明治大で先生と生徒の師弟関係にあった。中学・高校の国語科教員免許を持つ安住アナは当時、明治大の教職課程で齋藤孝先生の授業を受けていたのだ。
いまや日本屈指の話し手であるふたりが、『話すチカラ』について縦横無尽に語り尽くす。齋藤孝ゼミの現役明大生を前に、安住アナが長時間にわたり熱弁をふるった白熱教室も収録。“国語科オタク”を自認する安住アナの日本語へのディープなこだわりは必読だ。
学生からビジネスパーソン、主婦まで、日ごろの雑談からスピーチ、プレゼンまで楽しくなるマンガ版『マンガでわかる 話すチカラ』は、口下手な女子大学生が、齋藤孝教授と安住紳一郎アナの指導のもと、実は話し方にはコツがあることを知り、「苦手」を乗りこえていくというオリジナルのストーリーで、さらにわかりやすく最高峰の話す技術が身につく!
(こちらは2020年3月1日付け記事を再掲載したものです)
余計な言葉を
入れないことを
強く意識する
テレビのスポーツ中継を見ていると、実況するアナウンサーの質問に対して「でも」から話し始める解説者がいます。
「でも」と言っているのですが、それに続く内容が逆説ではありません。
こういった「でも」は、単なる口グセです。
口グセがすべて悪いわけではありませんが、ムダなクセをとり除くと、話にテキパキした印象が生まれます。
多くの人がやりがちなクセが、「えー」「えーっと」です。
「えー」には、“声を出す練習”“聴き手の準備を促す”といったポジティブなニュアンスもありますが、「えーっと」からは“話したい内容がまとまっていない”というニュアンスが伝わり、子どもっぽい印象を与えてしまいます。
「えーっと」「えーっとですね」を連発すると、少々耳障りです。
私が学生に「15秒でプレゼンしてください」と課題を出すと、短時間で話をまとめなければならないのに「えーっと」を連発して、それだけで持ち時間を使ってしまう人がいます。
まずは、自分が話すときのクセに気がつくことが肝心です。
短い時間で区切って話してみると、自分がどれだけ余計な言葉を入れてしまっているかがわかります。
できれば、自分の話をICレコーダーやスマホに録音してチェックするのが理想ですが、そうはいっても、自分の声を聴くことにはストレスがあると思います。
まずは話している最中に「あ、今『えーっと』って言っちゃったな」「また『あのー』が出てしまった」などと意識するところから始めてみましょう。
口グセに注意しながら15秒、30秒プレゼンを繰り返していると、次第にムダな言葉を省きつつ、長い時間話せるようになってきます。
「これだけは伝えたい」という情報を強く意識して、優先順位の高い情報から話すことも意識しましょう。
いつ話を遮られても困らないように、大事な情報から先に伝えようとすると、余計な言葉が少なくなっていくはずです。
私は、これまで大学生を何千人も指導してきましたが、プレゼンは5回目くらいから誰もが格段にレベルアップします。
1 「えーっと」「あのー」「まあ」といったノイズをなくすことを意識する
2 ノイズをなくすには話したいことを強く意識することも大切
3 自分が話すときのクセに気づくところから始める
4 心情を雄弁に伝える「えー」「あのー」もある