明治大学の齋藤孝教授とTBSの安住アナの共著『話すチカラ』。発売1カ月で12万部を突破した本書には、老若男女、さまざなな職業の人から「役に立った」「おもしろい」の声が届いている。その中から、今回は「この内容を明大生だけに体験させるのはもったいない」と力強く語った慶應義塾大学の女子学生の声を紹介!

いつメンなら大丈夫だけど、初対面の人が苦手

 大学生のコミュニケーションなんて、友達やバイト先の仲間ぐらいだろう、そう思われがちだけど、実際、意外にフォーマルな場が多い。

 高校生まではコミュニケーションをとる大人といえば、せいぜい親か親戚、学校の先生どまり。それが大学生になると、とたんに、ちゃんとした「大人」との会話が必要になるからだ。

 普段の生活ではいつメン(いつものメンバー)と「あそこのタピオカ美味しいよ」とか、「吉沢亮ってかっこいいよね~」なんて、あまり内容のない話をダラダラとしていることがほとんどだが、かたや、ゼミに行けば教授と、学校以外ではバイト先の方々と、いわゆる「ダラダラ」ではない話をしなければいけなくなる。

 私は高校時代から人と話すことは苦手ではない。むしろ「得意」なほうで、文化祭の司会もしたほど。

 しかし、初対面の人との会話となると、そういうわけにはいかない。

「コミュニケーションが得意」というキャラゆえ、沈黙を回避しようと相手の話を聴くより、自分のことばかり話してしまって、会話が終わったらどっと疲れる。終わった後、「あぁ、また自分ばかり話しちゃったな」と落ち込む。

 そんな人向けに書かれているかどうかはわからないが、本書『話すチカラ』の中に「オウム返し」というテクニックが登場する。「相手にもっとその話を続けてほしいときに、オウム返しで相手にもう一度聞く」という方法なのだが、ある日、初対面の人とのオンライングループディスカッションでこのテクニックを使ってみた。

「テニサー(テニスサークル)に入っているんだよね~」

「へぇ~、テニサーですか?」

「ゼミでは都市社会学を勉強していて……」

「都市社会学?」

「都市開発とか、地域活性化活動とかについて社会学的に分析する学問だよ」

「地域活性化活動…というと?」

「たとえば……」

 といった具合に、話が続いていく。あれほど初対面の人との会話が苦手で、さらに沈黙が怖くて自分のことばかり話してしまっていた私が、ほとんど聞き役に徹し、相手の話を引き出すことができたのだ。

付箋がたくさんつけられた北嶋さんの『話すチカラ』

 驚くほど、疲れない。これはかなり使える。

 本書は、「齋藤先生と安住アナ」が明大生(明治大学の学生)を前にした講義がベースになっているそうだが、これを明大生だけに聴かせていいのか

 先に講義で聴いた明大生はすでに実行に移しているんだと思うと、先を越された感がむくむくと湧き上がってしまう。

 本になったから私たちも読めるのであって、これを読まないまま初対面の人と話す場の代表である、OB訪問や就職活動に挑むのかと思ったら、ちょっと怖い。

 いや、むしろ私以外の大学生には読んでほしくないほどだ。

(慶応大学文学部2年生 北嶋弥那子)