グーグルが、旅行情報メディアのフロマーズを買収するという。グーグルにとって、これはまた新たなビジネスモデルへの一歩となるものだ。
日本での知名度は低いが、フロマーズは1957年の創設以来、旅行ガイドブック有数のブランドとして、欧米ではよく知られた存在だ。『1日5ドルのヨーロッパ』といった旅行ガイドは大人気を呼び、役に立つローカル情報や旅のアドバイスなどを、世界中の国や都市向けに提供してきた。2001年以降は、アメリカの出版社ジョン・ワイリー&サンの傘下に入り、プリント書籍とオンラインサイトとして多くの旅行者に利用されてきた。
両社は詳細を明らかにしていないが、フロマーズ買収のためにグーグルが払う額は2500万ドルとも言われている。グーグルは、フロマーズのコンテンツをグーグルの検索結果、地図、ビジネス向けのグーグル+へ統合する予定と言われている。
この買収の話は、グーグルのザガット買収を思い出させる。全世界のレストランガイドブックとしてよく知られるザガットをグーグルが買収したのは、昨年9月。その後、ザガットのコンテンツは地図に統合され、グーグル+のローカル・ビジネスのリスティングにも利用されている。
フロマーズの買収によって、グーグルはローカル情報をさらに充実させることができる。ローカル情報はこれからの広告収入にとっては核となる要素で、モバイル機器を人々がひっきりなしに使う時代には大きな収入源だ。ザガットはレストラン情報だけだったが、フロマーズはレストラン、ホテル、地元の店などの情報を持ち、そうしたところが広告主になる上に、他にも旅行代理店、航空会社からの広告も期待できるわけだ。ザガットは1億5100万ドルの買収額だったが、フロマーズはその6分の1ほど。だが、フロマーズ獲得による情報の充実ぶりはかなりのものだ。