1万人を超えるリーダーは、「同じこと」に悩んでいた。
本連載は、1万人を超えるリーダーから寄せられた「悩み」に対し、明確な答えを提示するものだ。
書き手は、日本最高峰のビジネススクール「経営アカデミー」で19年以上の登壇実績を誇り、経営者や企業幹部を指導してきた浅井浩一氏。全国で年間100回以上の研修や講演を行い、コンサルタントとしても現場に入り込む。
「離職率を抑え、メンタルを病む人をゼロにし、なおかつ目標を達成し続ける」ために、リーダーとともに考え、行動し、悩みの解決を図る。業種・業態を問わず、職場再建率は100%。これまで指導してきたリーダーの数は1万人を超える。発売即3刷のベストセラー『1万人のリーダーが悩んでいること』の著者でもある。

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【悩み】受け身になっている部下の指導方法について。あれこれ試しているのですが、「言われたことだけをやる」状態が続いています。

 今から数十年前、友人が私にしてくれた話が忘れられません。

 彼の話は「庭の手入れの手伝いを嫌がる息子に、いかに手伝ってもらうか」というテーマだったのですが、その話の中に、仕事にも使える「部下育成のコツ」が詰まっていたのです。

 彼は息子のケンタくんに手伝ってもらうため、作戦を練りに練り、ケンタくんにこんなふうに声をかけました。

「庭木の消毒を早めにしておかないと、毛虫がつくんだ。毛虫に刺されたらかぶれてしまって大変だ。それは避けたい。お父さんはあの背の高い木を消毒するから、ケンタは背の低いこの木とこの木をよろしく頼む。いつの週末だったら時間がとれるかな? わかった、それまでに消毒液や手袋といった必要なものを準備しておくよ」

 そして消毒は無事終了。友人は息子に感謝を伝えました。

「ありがとう。お父さんひとりで消毒するのは大変だから、手伝ってくれて助かった。秋に消毒するときも、背の低い木はケンタがやってくれ。頼むな。これはがんばったご褒美だ。好きな物を買って」とお礼の気持ちで3000円を手渡した。

 この一連のやりとりには、次の5つのステップがあります。

(1)やる理由を伝える
(2)役割分担を決める
(3)やることに向け、準備をする
(4)相手の都合のよい日時に合わせる
(5)感謝の意と、次回に向けての期待を伝え、報酬を与える

「なんでいつまでたっても手伝わないんだ!」「いいから手伝いなさい!」と叱っているうちは、自発性を引き出すのは難しい。相手も嫌々やらされるだけです。しかしさきほどの5つのステップを踏めば、息子は「背の低い木の消毒は自分の仕事」という使命感を持つようになります。

 仕事でも同じです。部下は、ひと言声をかけるだけで自発性を持って行動してくれるほど単純ではありません。