ANAホテルの現経営陣の立場で考えれば、この行動は明らかに損です。実際、自民党幹部がメディアに「もうANAホテルは使えない」と発言したことが報道されています。一流ホテルの大口顧客である自民党の代議士を励ます会や、行政の息のかかった各種団体のイベントは、ほとぼりが冷めるまで「忖度」でANAホテルの利用を控えるでしょうから、ホテルの営業部門は大変だと思います。

損な行動をとった理由は
「外資系」だから?

 では、なぜ損なことをするのでしょうか。理由は、ホテルの正式名称を見ればわかります。ANAインターコンチネンタルホテル東京というその名の通り、かつての全日空ホテルズは、現在ではインターコンチネンタルホテルズグループが74%の資本を持つイギリス系企業だからです。

 全く同じメカニズムで起きた、別のニュースを紹介しましょう。デルタ航空は2月6日にホノルルから名古屋に運行したデルタ611便の乗客2名に、新型コロナウイルスの陽性反応が出たことを公表しています。すでに乗客には連絡をとり、安全対策を講じているという話です。定期便の機内でウイルス感染者が出たことを、便名も含めて詳細に情報開示する。これは日本企業がなかなかやらない行動です。

 逆の事例を紹介します。「桜を見る会」に関連してはホテルニューオータニでも宴会をめぐる問題が起きていますが、明細書については「主催者の要請がなければ国会には出せない」と、暗に首相を守る立場をとっています。理由は、忖度したほうが自社の利益上、有利だからです。ホテル経営では宴会場需要は生命線です。政府の機嫌を損ねていいことなどありません。