「本当は何か体に悪いものが入っているだろうな」と思いながら食品を口にし、「本当は設計ミスがあるんじゃないか」と勘繰りながら商品を購入する。ないしは「本当は騙されているんじゃないか」と不安なので金融商品は買わない――。よく聞く話です。

「無能」を理由にして逃げる
日本組織のガラパゴスルール

 この現象の一番根っこの部分にあるのは、日本企業のガラパゴスルールとして、何かを隠蔽する際に「無能を理由にする」というやり方が、日本だけで許されていることだと思います。

 たとえば、有能な社員がコロナウイルスの感染者の情報を集めようとすれば、あらゆる関係者に聞き取りをしながら、かなりの情報を集めることができます。一方で、無能な社員であれば「個人情報の壁があって情報が入手できません」「厚生労働省に問い合わせたのですが、関係者が多忙でつかまりません」などと、いくらでも情報が集まらない理由をつくることができます。

 外資系企業だと無能な社員は切り捨てられるが、日本企業では無能に振る舞っても切られない。場合によっては、後で「ご褒美」の昇進が待っていることすらあります。

 日本国内の政治問題も、コロナウイルス騒動も、海外メディアのニュースを読むほうが、客観的な情報を手に入れられるようになってきました。メディアも含め、社員が権力者に忖度しないように振る舞わざるを得ない外資系企業という存在は、2020年代の日本社会や日本経済の良心として参考にできるのではないか――。そんなことを感じさせられる一件でした。

(百年コンサルティング代表 鈴木貴博)

【訂正】記事初出時より以下のように修正しました。
・2ページ目4段落目:「またJR東海では、首都圏のコロナウイルスの感染者が2月10日と2月15日にそれぞれ新幹線で名古屋方面に向かったことが判明していますが、座席や便名どころか時間帯すら公表していません。」→記述を削除。
・2ページ目5段落目:「ホテル経営では宴会場需要は生命線ですし、JRにとってもリニア新幹線建設が最重要課題です。」→「ホテル経営では宴会場需要は生命線です。」へ変更。
(2020年2月21日 16:10 ダイヤモンド編集部)