「うそつき」「非生産的」
安倍首相の国会軽視答弁
衆院予算委員会で、安倍晋三首相が辻元清美議員にヤジを飛ばしたことについて、謝罪と撤回を行った。首相は、辻元氏が首相主催の「桜を見る会」を巡る私物化疑惑などを取り上げ、「タイは頭から腐る」と批判すると、「意味のない質問だよ」と声を荒らげたため、野党が反発し、審議拒否をしていた。
安倍首相はこのヤジだけではなく、野党議員の質問に対して「うそつき」「非生産的」とたびたび非難している。また、他の閣僚の答弁も荒れている。森雅子法相の黒川弘務・東京高検検事長の定年延長についての答弁は、過去の政府答弁と整合性がなく、説明になっていない。北村誠吾・地方創生担当相に至っては質問自体を理解できていないような、意味不明な答弁を続けている。
安倍内閣の開き直ったような国会答弁は、以前から「国会軽視」と批判されてきた。もちろん、野党の相変わらずのスキャンダル追及にはウンザリではある。もっと言えば、これまでは政策論争は「なんでも反対」だった(本連載第231回)。
だが、今国会はそれすらなく、「政策そっちのけ」である。それでも今国会の安倍内閣の答弁はひどすぎる。与野党ともに「国会軽視」を超えて、「国会破壊」に至ったのではないだろうか。
憲政史上最長の長期政権となった安倍内閣の成果は何かということが、よく議論になる。しかし、安倍政権によって日本から失われてしまった、深刻なものも少なくない。
「桜を見る会」を巡っては、様々な問題が指摘されてきた。たとえば「各界で功労・功績のあった方々を慰労する」という趣旨の会に、安倍首相や昭恵夫人、自民党議員らが招待枠を持ち、支援者を招待していたことが、公職選挙法違反の疑いがあると批判された。