米国の若手社員、会社への忠誠心高くPhoto:Reuters

 米国の働き盛りの若手社員は現在のところ、人手不足の現状にもかかわらず、前世代の社員と同じくらい会社への忠誠心が高いことが明らかになった。

 米世論調査機関ピュー・リサーチ・センターが連邦政府データを分析したところによると、2018年1月時点で22~37歳のいわゆる「ミレニアル世代」の労働者の70%が、現在の雇用企業に13カ月以上勤めていた。一方、2002年に同年代だったいわゆる「X世代」の人たちは同割合が69%だった。

 ピューのシニアリサーチャー、リチャード・フライ氏は「ミレニアル世代の現雇用企業での勤続期間は、2002年のX世代のそれと変わらない」とし、「リセッション(景気後退)から10年たっても依然、同じ状況だ」と述べた。

 もう少し長い勤務期間データで見た場合、若い労働者は前の世代よりも会社への忠誠心が高い可能性さえある。米労働統計局(BLS)によると、2018年1月時点では25~34歳の労働者の28.8%が5年以上同じ企業で働いていると回答した。2000年時点の同年代の労働者の同割合は21.8%だった。

 米国は現在、失業率が約50年ぶりの低水準で推移し、企業はこれまでよりも大きな人材プールから選べるようになっている。1月時点で25~54歳の就業中または求職中の米国人の割合は83.1%と08年以降で最も高い。

 米保険大手プルデンシャル・ファイナンシャルのロバート・ファルゾン副会長は「現在、雇用率は高いが、職の安定に対する不安が非常に高い現象が起きている」とし、「ミレニアル世代もそうした現象と無縁ではない」と述べた。

 プルデンシャルが昨年実施した調査によると、ミレニアル世代の約60%が現在の会社に3年以上勤めており、49%が少なくともあと4年は同じ会社に勤めたいと答えた。

 若い社員の忠誠心の高さは、ミレニアル世代は転職にためらいがないという一部の人材スカウトの間で根強い見方と矛盾している。

「労働市場が特に若者にとって厳しいリセッションのさなかは、頻繁な転職は抑えられると理解されていた」とピューのフライ氏は指摘。しかし、景気回復に弾みがつき始めると、ミレニアル世代は頻繁に転職するという考え方が、それを裏付けるデータがないにもかかわらず定着したという。

 ニューヨークで人材スカウトとして働くローラ・マズーロ氏は、多くのミレニアル世代はリセッションのさなかや直後に社会人になったため、採用面接のときは比較的従順だったのかもしれないと話す。しかし、働き始めて数年たつと景気見通しが改善したため、昇進や昇給を強く主張するようになり、多くの企業が戸惑ったという。

 ファルゾン氏は、今日のキャリアは約4年ごとに見直す必要が出てくるため、若い労働者は不可欠なスキルを継続的に身に付けるために仕事を変える必要があると感じているのかもしれないと話す。一部の人は「転職しなければ学び続けることができず、それができなければ、職を失うリスクがある」と思い込んでいるのかもしれないという。

 5年続けた仕事を辞め、グーグルに入社したマーゴ・ターシーさん(35)もそうだ。以前の職場では、限界があるように感じていたという。しかし、グーグルのチームや上司は協力的で、常に自分を満足させてくれるという。

 ターシーさんはグーグルのクラウドチームの管理業務を担当している。3年前からその職務に就き、幹部を支援したり、新入社員の研修をしたり、最近ではプロジェクト管理も担当したりしている。プログラミングを習いたいと要請し、それも教えてもらった。以来、プロジェクト管理ツールを構築し、チーム内の連携を向上させている。継続的に昇給しているが、グーグルにとどまっているのはそれが主な理由ではないと話す。

「この仕事は絶えず進化し、変化している。プロジェクト内で継続的に自分の視野を広げている」

(The Wall Street Journal/Kathryn Dill)