アマゾンのMBA採用に変化、新たな人材発掘を重視Photo:Reuters

 アマゾン・ドット・コムは、米国の一流ビジネススクールを出た経営学修士号(MBA)取得者を大量に採用しなくなった。むしろ、新たな経営人材を多様な教育機関から発掘しようとしている。

 一部の学校関係者によると、アマゾンは最近まで、20校余りのエリート校出身者を中心に、毎年1000人前後のフルタイム職またはインターン職のMBA取得者を採用していた。同社はマサチューセッツ工科大学(MIT)のスローンスクールや、テキサスA&M大学のメイズビジネススクールといった有力大学にくまなく担当社員や幹部を派遣し、学生と直接対話する機会を設けていた。

 だが今や、専門技術とビジネス感覚を兼ね備えた人材が必要なことから、80校のMBAプログラムに門戸を広げて求人募集し始めた。それに伴い、大学訪問を一部縮小し、バーチャル面接に軸足を移している。

 対面型の面接やコーヒー片手の気軽な集まりが消滅する中、MITスローンスクールやノースウェスタン大学ケロッグスクールは、2019年度のクラスでアマゾンに就職するMBA取得者の数が2017年度に比べ60%以上減少したと明らかにした。同期間にカリフォルニア大学(UC)バークレー校のハース・スクール・オブ・ビジネスからの採用も半減した。コロンビア大学のビジネススクールやニューヨーク大学のスターン・スクール・オブ・ビジネスではそれぞれ40%近く減少したという。

 一方、アマゾンの広報担当者ジェシー・アンダーソン氏によると、同社は今年MBA学生をフルタイム職またはインターン職で1000人以上採用する計画で、より多様なプログラムに人材を求めたい考えだという。すでに北米80校に求人募集を広げたと話すが、新たに加えた大学の名は明かさなかった。

 アマゾンは米国で50万人を雇用し、時給15ドル(約1650円)の倉庫作業員から6桁の給料を稼ぐソフトウエアエンジニアまでいる。MBA採用数は雇用総数に比べるとわずかだが、テクノロジー業界で先導的立場にある企業として注目を浴びている。

 アマゾンがバーチャル採用を開始してから、同社で働きたいと希望する学生は減ったと一部の学校関係者は話す。MITスローンスクールのキャリア開発副部長スーザン・ブレナン氏は、アマゾン人気が衰えた原因の1つは、対面して話す機会が少ないことだと指摘する。

「学生は直接的な人脈作りの機会に引きつけられる」と同氏は話す。今や多くの学生は、大学に担当者が訪ねてくる新興ハイテク企業やコンサルティング会社などに就職したがるという。

 UCバークレー校でのアマゾンのMBA学生採用のピークは2017年で、それ以降はエンジニアリングやデータサイエンスといった技術分野からの採用が増えた。ハース・スクールのキャリア管理副部長アビー・スコット氏はそう話す。

 一方、ジョージア工科大学のシェラー・カレッジ・オブ・ビジネスでは、バーチャル面接を始めてからも、就職を希望するMBA学生に会うため、アマゾンが数人の担当者を派遣している。MBAキャリアコーチ兼企業広報マネジャーのケビン・ステイシア氏は、同校からアマゾンに就職するMBA学生の数は減少していないと話す。理由の1つは、同校では学部時代にテクノロジーやエンジニアリングの技能を身につけてから大学院に進む伝統があるためだとしている。

「ターゲット校としての魅力を与えているのは、彼らが求める通りの資質を学生が備えていることだ」と同氏は言う。

(The Wall Street Journal/Patrick Thomas)