さらに、厚労省からの調査用紙には、参加者の男女別や75歳以上かなど詳細な記入欄がある。自治体の担当者からは「住民団体は短期間で休止したり、新設されたりして、動きが激しくて、とても細かい点まで追いかけられない」「補助金を出していない住民活動を把握する部局がない」「活動内容によって役所の部局がそれぞれ違うので、全部を掌握するのが難しい」など困惑する声が聞かれる。

 こうした「混乱」状態は、実は第1幕である。第2幕の混乱が始まろうとしている。

 厚労省は、昨年5月「一般介護予防事業等の推進施策に関する検討会」(構成員25人、座長遠藤久夫・国立社会保障・人口問題研究所所長)を立ち上げて会合を9回開き、12月に報告書を取りまとめた。その中で「下記のような取組も通いの場に含まれ得るものとして明確化を図ることが適切である」と。「通いの場」の新しい考え方を提言した。それが以下になる。

(1)スポーツや生涯学習に関する取組
(2)公園や農園を活用した取組
(3)民間企業・団体や社会福祉協議会など多様な主体と連携した取組
(4)医療機関や介護保険施設等が自主的に行う取組
(5)有償ボランティアなどいわゆる就労に類する取組
(6)高齢者だけでなく、多世代が交流する取組
(7)防災や交通安全、地域の見回り等の取組との連携

 これらは現行の4条件から大幅に広げている。「医療保険や介護保険施設が自主的に行う」というのは、4条件の中の「運営主体は住民」と明らかに反する。「民間企業と連携した取組」も、くせものだ。カルチャーセンターをはじめフィットネスクラブや水泳スクールなど文化、スポーツを手掛ける企業は多い。ボウリング場やゴルフ場も含まれるのだろうか。「連携」と言う表現がまた分かりづらい。

 高齢者だけでなく、子どもや若者まで対象に「多世代」とうたうと、当初の「介護予防」の目的からも遠ざかってしまう。これまでの4条件は「風呂敷」でのくくりとすると、検討会の提言はダブルベッドの「シーツ」並みに大きくしたと言えるだろう。

 これだけ拡大してしまうと、次回以降の調査では箇所数、参加者が共に相当に増えそうだ。定義が不明確なまま、数値を調べることに意味があるのだろうか。そのような調査で参加率の目標を達成したと言われても……。

 同省は検討会の提言を「これから整理して新たな条件を決めたい」と話している。

(福祉ジャーナリスト 浅川澄一)