1万人を超えるリーダーは、「同じこと」に悩んでいた。
本連載は、1万人を超えるリーダーから寄せられた「悩み」に対し、明確な答えを提示するものだ。
書き手は、日本最高峰のビジネススクール「経営アカデミー」で19年以上の登壇実績を誇り、経営者や企業幹部を指導してきた浅井浩一氏。全国で年間100回以上の研修や講演を行い、コンサルタントとしても現場に入り込む。
「離職率を抑え、メンタルを病む人をゼロにし、なおかつ目標を達成し続ける」ために、リーダーとともに考え、行動し、悩みの解決を図る。業種・業態を問わず、職場再建率は100%。これまで指導してきたリーダーの数は1万人を超える。発売即3刷のベストセラー『1万人のリーダーが悩んでいること』の著者でもある。
【悩み】成果が出ていないときほど、部下との会話時間が減少していると感じます。苦しいときこそ声をかけるべきなのですが、どうすればいいのでしょうか?
こんな寓話があります。ある朝、山の中を歩いていた旅人が、汗を流しながら一生懸命に木を切っている木こりを見つけました。夕方、旅人が同じ道を戻ってみると、朝と同じ場所で、滝のような汗を流しながら木こりがまだ、木を切っています。
でも、あまり作業は進んでいないようでした。旅人が足を止めてよくよく見ると、木こりが使っているのこぎりの刃はボロボロ。旅人は木こりに声をかけました。
「木こりさん、精が出ますなぁ。でも作業はあまり進んでないみたいですね、いったん手を止めて、のこぎりの刃を研いだらどうですか?」
木こりは答えます。
「旅人さん、何を言っているんだ。刃を研ぐ時間なんておいらにはないんだよ、木を切るのに忙しくてさ……」
旅人はあきれてその場を去りました。木こりは再び、手入れされたのこぎりならばものの5分で切れるはずの木を、丸一日かけて切り続けます。
本当にコミュニケーションが必要なのは、「成果が伴っていないとき」です。思うように仕事が進まないからこそ、手を止めてメンテナンスする必要があるのです。
「成果が出ない理由」を探る
「コミュニケーションをとる」といっても、ただやみくもに声をかければいいわけではありません。部下の成果が出ていないのには、必ずどこかに原因があります。
その原因をあぶり出し、足りないものを見極めてアドバイスする。これがリーダーとしてのコミュニケーションです。