成果が出ていないときにすべきこと

 ある飲料販売会社には、「とにかく新製品を納入しなさい」という上層部からのプレッシャーがあり、現場の営業マンたちは「いかにして新製品を売るか」で頭がいっぱいでした。

 しかし営業マンたちは店舗に出向くと、新製品の提案を突っぱねられて帰ってきます。課長が事情を尋ねると、店舗からは「「おたくは毎回、『新製品、新製品』ってそればかり売り込んでくるけど、この前入れた新製品、全然売れていないよ。どうしてくれるんだ」と苦情が出たといいます。

「新製品を売る」という「こちらの都合」で頭がいっぱいになるあまり、肝心な「店舗のニーズ」を忘れていたのです。これでは営業活動がうまくいくはずもありません。課長は「ここが、のこぎりの刃の研ぎどきだ」と考えました。

「みんな、『新製品を売らなきゃ』という焦りはいったん忘れよう。新製品の実力は、データを見る限りこのあたり。これより売れていて、扱ってもらえればもっと売れそうなのに欠品していたり、この新製品以下の実力の商品が店頭に並んでいたりといったことはないかな? 一度、整理してみよう」

 全員が立ち止まってデータを洗い出すと、「売れるはずなのに店頭にない商品」「売れていないのに店頭でスペースをとっている商品」がたくさん出てきました。

「よし、これで『自分たちが何をすれば成果があがるか』が明確になったね。『欠品している優良銘柄』と『店頭に残っている不良銘柄』を入れ替えて、スペースが余ったら新製品を置いてもらおう」

 課長のてこ入れが効き、このチームの業績は一気に上がりました。成果が伴っていないときに必要なのは、「成果が出ない理由」を探るコミュニケーションです。

「うちのチームはいつまでたっても成果が出ない」「またあの部下は目標未達だ、、、」とこぼしながら、部下を遠ざけてはいませんか。

 ここが踏ん張りどころです。「成果が出ない理由」を慎重に探り、部下とコミュニケーションをとってください。