国際観光収入は
長期間ずっと成長している

「そんなのは、少しでも観光客を呼び込みたい、タイの観光業者が流しているフェイクニュースだ!」と、懐疑的な見方をする方もいるかもしれないが、筆者はさもありなんと考えている。

 あまりそういうイメージがないかもしれないが、実は「観光」というのは、今回のような世界的なウイルスの感染拡大や、自然災害、テロ、経済危機などのリスクにも滅法強い。一時的にガクンと落ち込むことはあっても立ち直りが早く、すぐに成長基調に戻るという「打たれ強い産業」なのだ。

 なぜかというと、「自分たちと異なる文化に触れてみたい」「知らない世界を見てみたい」という好奇心は、国、文化、宗教を飛び越えた人類の普遍的な欲求なので、「なくなる」ということがないからだ。

 それを如実に示すのが、UNWTO(世界観光機関)の「International Tourism Highlight 2019年 日本語版」に収められた国際観光客到着数と、国際観光収入(前年比伸び率)の長期推移である。

 1995年から国際観光客到着数はずっと右肩上がりが続いており、国際観光収入もリーマンショック後の2009年にやや落ちたものの、こちらもきれいな成長基調を描いているのだ。

「ふーん、それがなに?」と言う人もいると思うが、実はここまで長期にわたって安定的に成長を持続できる産業は珍しい。たとえば、日本では経済成長の象徴のように扱われる、自動車産業を見ると、世界新車販売台数の推移は浮き沈みや足踏みも目立ち、直近2年にいたっては「マイナス」である。

 これはちょっと考えれば当然で、自動車ビジネスは世界経済の動向はもちろんのこと、各メーカーの経営戦略、さらには製造拠点を置く国の政治状況や、原油高騰、ディーゼル規制などの環境問題のあおりをモロに受ける。実際、2年連続のマイナスは、世界の約3割を占める中国市場の低迷によるものだ。

 このような不安定な産業と比べたら、「観光」というのはさまざまなリスクをスポンジのように吸収して、安定的に右肩上がりの成長をしていく「最強の産業」と言っても差しつかえないのである。

 そんなリスクに強い産業において、アジアのなかで頭ひとつ飛び抜けているのがタイなのだ。