新型肺炎のインパクトは世界経済、特に韓国経済に大きいPhoto:ABACA PRESS/JIJI

多くの金融市場関係者が考える
新型肺炎による世界経済へのインパクト

 3月上旬に入り、多くの金融市場関係者は、新型肺炎が世界経済に与える影響のインパクトを真剣に考え始めている。その証拠に、足元で米国をはじめ世界の主要株式市場が大きく下落する局面があった。

 これまで、世界的なカネ余り状況の中で、AI(人工知能)を用いたトレーディング、トランプ政権の政策期待が支えてきた投資家の楽観姿勢は徐々に変化している。冷静に考えると、世界第2位の経済大国である中国が「開店休業」の状況であることを考えると、米国をはじめ世界経済全体に下押し圧力がかかることは避けられない。

 すでに主要国の経済に大きな影響を与える自動車や、IT関連の生産活動にはかなりの支障が生じている。そうした状況は虚心坦懐(たんかい)に受け止めることが必要だ。韓国や中東、欧州でも新型肺炎の感染が増えている。残念ながら、感染拡大の波はいまだ歯止めがかかっていない。

 今後、新型肺炎が人の移動を大きく制限し、各国企業の生産活動がさらに鈍化する懸念は払拭(ふっしょく)できない。中国依存度の高い韓国やわが国などの経済には、一段と厳しい影響が及ぶことが想定される。先行きは楽観できない。