中東では、イスラム教の聖地巡礼や祝祭が新型コロナウイルス拡散の新たなリスクとして浮上してきた。イランは感染拡大の封じ込めに取り組み、サウジアラビアは国内の聖地2カ所へのアクセスを制限し始めた。
中東地域で最も大きな打撃を受けているのはイランだ。政府はイスラム教の祝祭を中止し、大規模な集会を抑制しようとしている。しかし聖職者や信者は、何百万人もの熱心な信者にとって神聖な宗教的な伝統をとりやめることに消極的だ。
イランの保健衛生当局は27日、新型コロナウイルスの感染者が240人以上、感染による死者が少なくとも26人に達したことを明らかにした。感染が疑われる1000人以上に対し検査が進められているという。
国営サウジ通信(SPA)によると、サウジアラビアは27日、イスラム教徒のメッカ巡礼(ウムラ)のための入国を一時的に禁止した。また、聖地メディナにある預言者ムハンマドの霊廟(れいびょう)「預言者のモスク」を入国者が訪れることも禁止した。毎年700万人前後のイスラム教徒が巡礼のためサウジアラビアを訪れる。同国政府はまた、新型コロナウイルス感染国からの観光ビザでの入国を禁止した。国内では感染者はまだ確認されていない。