DPG(体の中心部の深部体温と手足の先などの末梢体温の差)が拡大すると眠くなる
また、サウナならではの体温変化も影響しているように思います。
そもそも、どうして人間は横たわると眠くなるか知っていますか?
実は、横になることによって、DPG(distal-proximal skin temperature gradient)という睡眠のスイッチが入るからなのです。
DPGというのは、体の中心部の深部体温と、手足の先などの末梢体温の差のことです。末梢体温が深部体温よりも高くなり、しかもその差が大きいほど人は眠くなるという報告が、1999年に世界的科学雑誌『Nature』に掲載されました。
横たわって体を水平にすると、重力のために戻りにくくなっていた末梢の血液が体の中心に戻り深部の熱を奪って末梢に移ります。体の中心から末梢に熱が移動するため、深部体温が低下し、末梢の温度は上がります。するとDPGが拡大し眠くなります。サウナに入ると、実はこれと同じことが起こります。
サウナ室は100度近い高温なので、体の中心まで温めることができます。そして、サウナ室を出ると中心部の温度は少しずつ下がっていきます。しかし、外気浴によって副交感神経が活性化し末梢の血流が増加して、通常は冷たい末梢が温まり、手足の先端はぽかぽかした状態が続きます。
一方、サウナによって上がった中心部の体温は末梢に熱を奪われていくため徐々に低下します。
つまり、「中心部は下がり、末梢は温かい」ということを、強制的に模倣しているのではないかと考えられるのです。これにより、DPGが拡大し、睡眠のスイッチが入るのかもしれません。