今、日本では空前のサウナブームが起きています。
 芸能人や著名な経営者にも「サウナ好き」を公言する方が増え、また身近なビジネスパーソンで、精力的に仕事をこなすトップエリートと呼ばれる男女がこぞってサウナに通っています。なぜ、仕事ができる人は、サウナにハマるのでしょうか?
 サウナを初めて科学的エビデンスに基づいて解説した話題の書「医者が教えるサウナの教科書」(加藤容崇著)より、最新研究に基づいたサウナの脳と体に与える効果と、ビジネスのパフォーマンスを最大化する入り方を、抜粋して紹介していきます。

【サウナの科学】サウナでしか得られない最大の効果は簡単に「脳疲労」が取れることPhoto: Adobe Stock

 サウナでしか得られない一番の効果は何かと聞かれれば、私は「脳疲労が取れること」だと答えます。実は、脳疲労の原因は、ぼーっとしている時にも色々と考えてしまうことによって、脳の70〜80%のエネルギーが奪われることにあります。しかもこれは脳が自動的に考え始めてしまうので、意思の力ではどうにもなりません。

 逆に、ぼーっとしていない時、たとえば、企画書を書いたり、プレゼンをしたりして、脳を能動的に使用している時でも、脳のエネルギー消費量は実は、5%しかアップしません。何か意味のある作業を行っても、脳のエネルギー消費量はたったの5%程度しか上昇しないのですから、ぼーっとしている時のエネルギーの消費量がいかに膨大かわかると思います。それと同時に、どうにかして、その消費を抑えたいと思うことでしょう。

 そのカギを握るのが、「DMN(デフォルト・モード・ネットワーク)」と「CEN(セントラル・エグゼクティブ・ネットワーク)」です。

 DMNは、ぼーっとしている時、すなわち、脳が意識的に活動していない時に働いてしまう脳回路です。意識的に活動していないとはいえ、多忙なビジネスパーソンは常に複数の仕事を抱えているため、懸念事項が頭の中を駆け巡っています。
 また、ぼーっとしている時というのは、基本的には何もしていないので、外からの情報に敏感になる必要がありません。そのため、心は内を向き、外からの情報を受け流します。テレビを見ている時に、最初はちゃんと見ていたけれども、次第にホワイトノイズのようになって頭に入ってこなくなるようなイメージです。これがひどくなると、統合失調症やうつ病、不安障害、ADHD(注意欠陥多動性障害)、アルツハイマー病など多くの疾患につながる恐れがあります。こうして、内側で思考が次々と湧き上がることによってDMNが動き続け、脳はどんどん疲れていきます。

 一方、CENは、集中して仕事を行っている時に活性化する脳回路のことです。CENが活性化している場合は、眠気や空腹など、自分の内なる情報を遮断して、外のタスクに集中することができます。つまり、企画書を書く、クライアントと打ち合わせをする、プレゼンを行うなど、目の前の仕事に没頭できるということです。

脳疲労を取るカギは「DMN」の消費量を減らすこと

 DMNとCENは同時に活性化することはなく、一方が活性化するともう一方は不活性化するという、シーソーのような関係にあります。
けれども、CENのエネルギー消費量が5%程度であるのに対して、DMNは70〜80%にも及びます。これはまるで、大人と子どもがシーソーに乗るようなものです。
 そのため、外のタスクに集中しようと思って、子どものように小さなCENが勢いよくシーソーに乗ったとしても、もう一方のDMNが大きすぎるため、なかなかシーソーが傾きません。なんとかCENに傾いたとしても、その状態は長くは続かず、すぐにDMNに切り替わってしまいます。

 したがって、脳が最大限のパフォーマンスを発揮できるようにするためには、DMNの消費量を減らすことが非常に大切です。そして、サウナに入ると強制的に思考を停止させられるため、DMNの消費量が減ります。それにより、「脳がスッキリする」「脳疲労を防げる」「集中のスイッチに切り替わりやすくなる」「集中に切り替わった状態が持続しやすくなる」等のメリットを得ることができるのです。