日本の匿名掲示板として圧倒的な存在感を誇った「2ちゃんねる」や動画サイト「ニコニコ動画」などを手掛けてきて、いまも英語圏最大の匿名掲示板「4chan」や新サービス「ペンギン村」の管理人を続ける、ひろゆき氏。
そのロジカルな思考は、ときに「論破」「無双」と表現されて注目されてきたが、彼の人生観そのものをうかがう機会はそれほど多くなかった。『1%の努力』では、その部分を掘り下げ、いかに彼が今の立ち位置を築き上げてきたのかを明らかに語った。
「努力はしてこなかったが、僕は食いっぱぐれているわけではない。
つまり、『1%の努力』はしてきたわけだ」
「世の中、努力信仰で蔓延している。それを企業のトップが平気で口にする。
ムダな努力は、不幸な人を増やしかねないので、あまりよくない。
そんな思いから、この企画がはじまった」(本書内容より)

そう語るひろゆき氏。インターネットの恩恵を受け、ネットの世界にどっぷりと浸かってきた「ネット的な生き方」に迫る――(こちらは2020年4月30日付け記事を再構成したものです)

「どんな人か」より「どこにいるか」を見よう

何事も、まずは「場所」が大事だと考えている。

「頭のいい人」がやっている、人を動かす方法ひろゆき氏(撮影:榊智朗)

たとえば、日本人とイスラムの人たちは、考え方が根本的に異なる。

その原点が何かというと、それぞれの宗教観が形成していった過程にヒントがある。

イスラムの国は、その多くが、砂漠で自然が少ない場所である。そんな環境にいると、何も考えずにダラダラと生きていたら生存することができない。

だから、厳しい戒律のあるイスラム教が生まれた。

先祖たちの教えを1つ1つ残していかないと、自分たちが生き残っていけなかったのだ。

その一方で、日本は違う。

自然が豊かで、夏も冬もそんなに厳しい気候にはならない。

そうすると、多神教で八百万の神がいるというような「ゆるい宗教観」が生まれる。

古くからの教えを守らなくても、周りに食べられる植物や動物がたくさんあって、安定した気候で暮らせるのだ。

これは企業を見てもそうだ。競争の厳しい業界だと業務のルールは厳しく、競争が少なければルールはゆるくなる。

1人の人間が厳しい性格か優しい性格かと考えるより、厳しい環境にいたのか、ゆるい環境にいたのかを聞いたほうが早い。

そういう意味でも、僕は「場所」、特に「どこにいるか」を常に見るようにしている。

「ボール」と「ゴール」を用意する

僕はなるべく「場所」を提供できる立場にいたいと思っている。

それまで特権的に選ばれた者しか得られなかったものが一般に広がることを「民主化」というが、インターネットによって様々なことが民主化した

その代表は「映像コンテンツ」だろう。

電波法によって、テレビ局が独占的に持っていた「映像を作って、人々に放送する」という特権が、誰でも簡単にスマホだけで動画を撮り、編集をし、動画サイトにアップロードできるようになった。

「ユーチューブで面白いCMを作った人に20万円をプレゼントする」というコンテストが行われたりして、一般ユーザーたちは競って動画のスキルを磨いた。

「場所があれば、人は動きはじめる」

そんな心理があることを覚えておくといい。

運動場に人が集まり、「ボール」と「ゴール」があれば、自然とサッカーのような遊びをやりはじめる

動画の世界では、素人たちがツールを手に入れた。勝手に切磋琢磨し、やがて、テレビ局などのプロの人たちと素人の差は縮まっていき、現代の有名なユーチューバーたちが生まれていった。

「著作権は侵害してはいけない」というルールがあれば、「じゃあ元ネタのわかるパロディ音楽を作ろう」「有名人のものまねをしよう」などと、面白いことを考える人がどんどん作りはじめる

自由な広場に、「ボール遊びは禁止」と書くと、地面に線を引いてその中で相撲をしたり、ボール以外のフリスビーを持ってきたりと、アイデアが出てくるようになる。

その原点は、「場所」にある。それが僕のビジネスになっていったのだ。