ドラッグストアの棚に並ぶようになって久しい泡状ボディーソープ。どのメーカーもこぞって「手のひら洗い」を推奨しているが、そんなソフトな洗い方で汚れやニオイは本当に落ちるのだろうか。また、手の届かない背中はいったいどうすればいいのか――。15秒CMには収まりきらない手のひら洗いの謎に迫る。(清談社 松嶋千春)
手のひら洗いは
本当に肌に優しいのか
「花王 ビオレ」を筆頭に、「クラシエ ナイーブ」、「ユニリーバ・ジャパン ダヴ」など、固形・液体のものに加え、泡状のボディーソープを展開しているメーカーは多い。対象は敏感肌に限らず、老若男女が手のひらで泡を体に伸ばす様子が宣伝で流れている。では、「手のひら洗いは肌に優しい」とする根拠は具体的にはどのようなものなのか。美容皮膚科の銀座ケイスキンクリニック院長・慶田朋子医師に聞いてみた。
「肌表皮は4層に分かれていて、その最外層が角層という厚さ0.02mm程度のとても薄い層になります。ボディータオルでゴシゴシと強くこすりすぎてしまうと、水分保持の要となる細胞間脂質が失われ、肌荒れや乾燥を招きます。角層のバリア機能を保つためにも、こすりすぎない手のひら洗いは理にかなっているといえるでしょう」(慶田医師、以下同)
肌に良いことはわかったが、全身を手だけで洗おうとすると、無理も生じてくる。皮脂分泌量の多い男性、とりわけ皮脂が酸化しやすくなる30代半ば以降のミドル世代は、洗い残しに注意が必要だ。
「男性ホルモンの影響で、男性は女性よりも皮脂分泌量が多いです。さらにミドル世代になると、ジアセチルという成分に由来する酸化した皮脂のにおい『ミドル脂臭』が出てくるようになります。いわゆる『お父さんの枕カバーのにおい』ですね。背中のように皮脂量が多く手の届きにくい部位は、柔らかめのボディータオルを使用し、たくさん泡をつけて優しくなでるように洗いましょう」