――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」
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フィンランドの通信機器メーカー、ノキアがスマートフォン改革に乗り遅れたのは有名な話だが、最近、第5世代(5G)移動通信網の船にも乗りそびれている感がある。次期経営トップのペッカ・リュンドマルク氏は、中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)から技術的な主導権を取り戻すという困難な仕事に直面する。
2日発表された予想外の人事で、ラジーブ・スリ社長兼CEOは8月末で退任し、元ノキア幹部で現在は同国電力大手フォータムを率いるリュンドマルク氏が後任に就くことが明らかになった。スリ氏は6年近く同社トップを務め、それ以前はネットワーク部門を10年以上率いていた。現在ネットワーク部門はノキアの主力事業で、昨年の売上高の78%を占めた。
2019年はノキアにとって苦しい年だった。10月に業績予想を下方修正し、それに伴い、配当の支払いを停止。株価は20%余り急落した。主な問題点は厳しい競争だ。同社より上位のファーウェイだけでなく、復調したスウェーデンのエリクソンも手ごわい相手だ。ノキアと通信機器ナンバー2の座を争うエリクソンは、自身も2016年に業績予想を引き下げたが、それ以降、経営陣が交代し、業績を立て直した。