【シュトックドルフ(ドイツ)】ドイツの自動車部品メーカーの最高経営責任者(CEO)のもとに警鐘を鳴らす電子メールが届いた。つい先ごろ出張で本社を訪れ、CEOを含む幹部らと握手を交わした同社の中国人従業員が、新型コロナウイルスの検査で陽性と診断されたのだ。  欧州初の集団感染の始まりだった。だがその結末は、さらに劇的なものとなった。感染の封じ込めは1カ月と少しで成功し、感染した16人は今では全員、陰性となっている。  経営幹部と保健当局者は探偵のような追跡作業、速やかな検査、隔離を通して感染拡大を抑制した。こうした迅速な対応は、未知のウイルスを巡る感染封じ込めの手本となる。