新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)は、ドナルド・トランプ米大統領がこれまでに直面してきた問題の中で最大のものだ。株価が下落し、患者数が増加する中、今回の感染症流行は一部の米国人の命とすべての人々の経済的繁栄を脅かしている。さらに、トランプ氏を政権の座に押し上げた政治手法の障害にもなりつつある。トランプ大統領は他の危機的状況の際と同様に、脅威の性質を見極めようとし、自身の発言や政策対応を試しながら時間稼ぎをしてきた。しかし人間である政敵とは異なり、コロナウイルスは虚勢を張ったり脅したり懐柔したりできる相手ではない。医療専門家らがほぼ不可避と考えているような展開となれば、感染症とその経済的影響に対してトランプ流の手法は通用しなくなる。感染症をはね飛ばすことも、別のドラマを生み出して国民の関心をそらすことも、バラク・オバマ前大統領の責任にすることもできない。トランプ氏の政治的成功のカギとなってきた大規模集会は、公衆衛生の観点から近いうちに禁止されるかもしれない。非常に運が悪ければ、彼の集会の1つがウイルス大流行の一因とされる可能性もある。