その傾向が顕著に出たのが、東日本大震災後の計画停電と鉄道の間引き運転だった。都心では計画停電もなく、通勤も楽だったが、郊外ほど過酷な状態になっていた。これに嫌気がさした若年単身層を中心に、前年比で1万人が都区部に多く流入したというほどだ。

家賃は最大のムダ
住宅ローン返済のほうが合理的

 引っ越してきた始めの頃は「家は借りるのが当たり前」と思っているだろうが、家賃は収入の4分の1を占めるといわれる。世の中の平均的な生涯年収を2.5億円と考えると、家に6000万円以上もかけることになる。「この家賃を何とかしなくては貯金もできない」という認識を持たないと、家賃地獄からは抜けられない。

 学校を卒業して仕事をするようになってから亡くなるまで、約70年ある。住宅ローンは最長35年なので、賃貸に住む場合、支払負担期間は2倍になる。住宅ローンは借入額の毎年3%程度が返済に回る。前述のように、マンションの家賃相当額は物件価格の4%なので、ローン返済の方が安く済む。

 年間家賃4%を25年払えば、物件価格と同程度になり、手に入れることができるということだ。このことから、家賃を払うよりも住宅ローンを返済した方がいいといえる。

 それは金利と税制の違いによる。住宅ローンはほぼゼロ金利なのに対して、不動産投資の金利は高い。また税制は、投資の場合には賃料収入に税金がかかり、手取りは7がけくらいにしかならない。自宅は金利と税制で圧倒的に優位に政策誘導されているのだ。だからこそ「家賃は最大の無駄な出費」と考えなければならない。

 持ち家と借家の平均年収から言って、持ち家を買える年収がある人は買っている。家賃を払っている人は仕方なくそうなっているだけだ。「持ち家は引っ越しできないから不利」という迷信は、バブル経済のときの発想であり、今はもうない。