フィラが「フィラを知らない世代」を
開拓できたワケ

 90年代リバイバルブームの中、10代~20代といった新たな顧客層の獲得に成功したブランドの1つが、FILA(フィラ)だ。

 FILAといえば、90年以上の歴史を持つイタリア発祥の老舗スポーツブランド。90年代に日本でもブレイクした、言わずと知れた有名ブランドだ。しかし実は、かつてのブームを知らない若年層にブランド認知が高まってきたのはここ数年のことだ。

 事業を展開する伊藤忠商事は、2006年にFILAのマスターライセンスを取得。この当時の販売先は量販店中心で、日本市場への浸透から月日を経たことで顧客の年齢層も徐々に上がっていた。ブランドの将来を考えると、若年層へのアプローチは大きな課題だった。

 そこでライセンス取得後当初から、10代~20代に人気のタレントをブランドのイメージキャラクターに起用したり、若者向けのコレクションに出店したりと、若年層への認知度向上のマーケティング施策を強化した。しかし、すぐにその成果が出たわけではなかった。

 地道に認知拡大戦略を続ける中で転機となったのは、SPINNS、WEGOといった若者向けセレクトショップでの展開を開始したことだ。ロゴブームの影響もあり、店頭で「FILA」の文字が若者たちの間で注目され始めた。

 こうして徐々に国内で人気に火が付き始めた頃、「FILAがグローバル全体で若年層向けのマーケティング強化に注力していたこともプラスに働いた」と、FILA事業を担当する伊藤忠商事の村岡敬介氏は振り返る。たとえばアメリカでは、若者に人気のセレクトショップ「Urban Outfitters(アーバン・アウトフィッターズ)」でFILAが取り扱われている。

「FILAを知らない世代が、『どんなブランドなんだろう』とSNS上で調べたときに、アメリカでも人気セレクトショップで扱われていることがわかる。興味を持ってもらうきっかけになったと思います」(同・七宮信幸氏)