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リーマンショックの教訓は
Covid-19にどこまで通用するか

 Covid-19(新型コロナウイルス)の影響による経済的打撃は、過去に類例のないものとなりそうだ。何よりも、「広範囲・長期間にわたって、先行き不透明」というストレスは、計り知れない。

 とりあえず、2009年のリーマンショックと世界同時不況の教訓は、よくも悪くも世界の制度に反映されている。日本においては、働ける人や働いている人に対する施策の必要性に注目が集まり、数多くの制度改革や制度創設が重ねられた。

 生活保護には、当初から就労継続支援が含まれている。しかし、それは現在、おおむね忘れられてしまっているようだ。大蔵省(当時)や財務省の締め付けが厳しくなるたびに、働ける人や働いている人を生活保護の対象から除外する傾向が強まり続け、現在に至っている。

 セーフティネットの構造を考えると、このことには一定の合理性がある。通常、セーフティネットは「雇用」「公的保険」「公的扶助」の3層モデルで考えられている。雇用のネットで支えられなくなった人は、失業給付や年金といった公的保険で支えられるはずだ。公的保険でも支えられなかった人は、公的扶助で支えられる。雇用で支えられるはずの人を、生活保護や児童扶養手当のような公的扶助で支える必要はないかもしれない。

 しかし1990年代のバブル崩壊以後、日本の雇用の劣化は進行するばかりだ。このことは、雇用・公的保険・公的扶助の各層に対するニーズを重ね、混ぜ合わせた。もしかすると、どの層にも救われず、「制度の谷間」に落ちてしまう人々が増えてしまっているのかもしれない。

 既存の、あるいは新設された官民の支援策をフル活用して、今回のCovid-19のインパクトに立ち向かうことは可能だろうか。

 まず、セーフティネット3層モデルの最上層の「雇用」から、“使えそう”なものを整理してみよう。