“コロナショック”に対して16日までに日米欧の中央銀行が「金融緩和」措置を打ち出したが、市場の不安定が収まらないのは、政策目的の優先順位での足並みの乱れや景気回復支援で有効な手段が見えないことがある。(野村総研金融イノベーション研究部主席研究員 井上哲也)
日米欧中銀で足並みの乱れ
株価などの不安定続く
新型コロナウイルスの世界的な感染拡大で経済の不透明感や金融市場の不安定化が強まる中で、3月3日の米連邦準備理事会(FRB)による緊急利下げに始まり、16日の日本銀行による金融緩和の強化など、日米欧の中央銀行の金融緩和が出そろった。
各中央銀行の総裁や議長が異口同音に強調したのは、金融緩和が達成すべき、金融市場の安定、企業金融の支援、景気回復のサポートという3つの目的だった。
だが日米欧の中銀で政策の重点で足並みが乱れ、また景気回復の支援では利下げの余地が少ないなど、金融政策だけでは限界があることが浮き彫りになりつつある。
このことが、金融緩和にもかかわらず株価の不安定が収まらない要因の一つだ。