2020.12.30 2021年、中央銀行にとりわけ求められる「市場との対話」術 2021年の金融政策は景気回復をメインシナリオにしたものになるが、市場が正常化を過度に先読みしたり、逆に緩和が長引くと深読みしたりする恐れがある。無用の混乱を避け政策効果を生むには「市場との対話」が重要だ。
2020.11.20 「バイデン大統領」とパウエル議長の意見対立がなさそうなことは“諸刃の剣” バイデン新政権の最優先の経済政策課題はコロナ禍からの景気回復だが、大規模経済対策の財源として選挙公約に掲げた増税は難しそうだ。FRBの国債買い入れに頼ることになれば新たなリスクを抱える。
2020.11.4 「デジタル円」時代になっても財政規律が重要な理由 日本銀行が実証実験を始める中央銀行デジタル通貨が現実になれば、円は国際通貨圏の一部に組み込まれることもあり得る。仮にそうなっても、政府債務の実質負担を増やさないために財政規律を維持することが重要だ。
2020.9.9 政策金利のない「金融政策の新しい日常」で留意すべき本当の問題 先進国はコロナ後もかなりの期間は政策金利がゼロまたはマイナス金利が続く見通しだ。高インフレの懸念はなさそうだが、経済成長力の低下や金融市場の不安定化のリスクを共有することが重要だ。
2020.7.15 コロナ禍の中国株上昇で習近平体制に吹く「追い風」 中国株価の上昇はコロナ禍からの中国経済の回復を反映したものだが、中国政府にとっても海外投資家からの外貨で国内金融システムを安定させることができ、また米中摩擦で米国に対抗措置がとれる政策的意味合いを持つ。
2020.5.27 日銀の企業金融追加支援策に隠された「もう1つの狙い」 日本銀行が追加で打ち出した企業金融支援策は、コロナショックで売り上げが落ちた中小企業や個人事業主への無利子融資を後押しするためだが、利ざや縮小にあえぐ小規模な地方銀行などの収益支援の狙いもある。
2020.5.20 「財政ファイナンス」が懸念される“国債無制限買い入れ”の本当の問題 コロナショックで日本銀行が打ち出した国債無制限買い入れは「財政ファイナンス」ではないが、大規模財政支出を中央銀行が支えることが常態化すれば、民間経済の活力を損ない最終的には国債や通貨の信認が低下するリスクがある。
2020.3.18 コロナ問題と共通点が多い金融危機、「他山の石」とし次に備えよ 新型コロナウイルス問題では情報不足から政策当局への不信感が強いことが問題解決を遅らせているが、コミュニケーションが重要な点で金融危機時と共通点が多い。「次の危機」に備えて他山の石とすべきだ。
2020.3.17 日米欧が金融緩和しても株価の不安定が収まらない理由 “コロナショック”に対して16日までに日米欧の中央銀行が「金融緩和」措置を打ち出したが、市場の不安定が収まらないのは、政策目的の優先順位での足並みの乱れや景気回復支援で有効な手段が見えないことがある。
2020.1.22 FRBが「国民との対話」で得たものと失わないように気を付けるべきもの FRBが金融政策の枠組み見直しの一環で進める経営者や消費者との対話集会で、超緩和政策について「雇用の最大化」では評価されたものの「物価の安定」では必ずしも満足が得られず、2つの政策目標で評価が分かれた。
2019.11.20 ラガルド新総裁が早くも直面したECBの「根源的問題」 金融資産買い取りの再開以降、ECB内で続く意見対立は政策決定の枠組みをめぐる議論になり始めている。加盟国の経済状況は違うのに金融政策は統一という根源的な課題にラガルド新体制は早々に向き合うことになった。
2019.9.25 中央銀行が「先行きの政策運営」を再び語る日はあるか 日米欧の中央銀行が相次いで政策決定の会合を開いたが、「先行きの政策運営」方針はそろって示さなかった。経済の先行きが読めないだけに金融政策の柔軟性確保を優先したが、こうしたやり方は一時的なものだろう。
2019.7.31 再び緩和を打ち出したECBの量的緩和にはまだまだ工夫の余地がある 7月の理事会で再び金融緩和の方向にかじを切ることを決めた欧州中央銀行(ECB)は、課題の多いマイナス金利の深掘りより工夫を凝らした量的緩和の活用を模索すべきだ。
2019.6.5 “手詰まり”の日銀が次の景気後退に備える一手「タームオペ」とは 次の景気後退に打つ手が限られる日本銀行だが、長期資金を金融機関に貸し付ける「タームオペ」は活用の余地がある。長期国債購入による資金供給より柔軟性がある点で「持久戦」にふさわしい手段だ。
2019.4.10 トランプ大統領の“金融緩和圧力”にFRBが対応する方法 利下げや量的緩和再開など、トランプ大統領の“金融緩和圧力”が強まるが、FRBが金融政策の独立性を維持する方法はある。リーマンショックなどを機に膨らんだ金融政策への過度な期待を元に戻す、もう1つの「正常化」を進めることだ。
2019.2.13 米中摩擦解消の鍵は、米国が恐れる「中国製造2025」の行方 3月の「休戦」期限を前に米中協議は、貿易不均衡問題では前進の兆しがあるが、習近平国家主席肝いりの「中国製造2025」に対する溝は埋まらないとみられている。戦略的産業政策は悪いことなのか、この問題が米中摩擦の行方を左右する。
2018.12.12 初の金融安定報告で浮き彫り、FRBが抱える「3つの課題」 米連邦制度理事会が11月末、初めて金融システムの安定に関する報告を出したが、現状の分析では目新しいものはなかった。むしろ市場のプレイヤーの情報把握などに関するFRB自体の課題を浮き彫りにした。
2018.10.17 トランプの利上げ批判はFRBの「不都合な真実」を突いている トランプ大統領が利上げを進めるFRB批判をエスカレートさせている。そのやり方はともかく、インフレ率が高くなく景気後退も近づいているのに利上げを続けることへの素朴な疑問として理解できる面もある。FRBは利上げのもう一つの意味について…
2018.8.22 日銀の政策修正で強まる「正常化論」の落とし穴 日銀の政策修正は異次元緩和からの「正常化の第一歩」との見方が出ている。だが日銀の次の一手は「2%物価目標」を実現しないままでの撤退ではなく、物価目標を修正しつつ金融緩和を継続することが考えられる。
2018.6.27 次の景気後退に備えた「利下げできる余地」作りは必要か 欧米の中央銀行が金融政策の正常化を進める大きな理由は、景気後退の際の利下げの余地を作るためだ。デフレから脱却できないままリーマンショックに見舞われた日本の経験を意識してのことだが、果たして「のりしろ」作りは不可欠なのか。