先行きの
不透明感高まる世界経済

 イタリアと韓国には、経済運営の困難さが増しているという共通点もある。大きな問題の一つは、両国から投資資金が逃避し始めていることだ。特に、韓国の株式、通貨(ウォン)、イタリアの国債への売り圧力は強まっている。その背景には、新型コロナウイルスが世界経済を縮小均衡に向かわせるとの懸念などがある。

 重要なことは、新型コロナウイルスが世界の実体経済を混乱させていることだ。それが金融市場の混乱を招いた。別の言い方をすれば、ウイルスが経済の脆弱さをあぶりだし、それが金融市場の不安定性を高めている。

 現在、世界全体で海外への渡航が禁止されるなど、人の移動が大きく制限されている。どの国も、感染から自国を守らなければならない。当然のことながら、国境をまたいだヒト・モノ・カネの動きは停滞する。それが各国の需要と供給を押し下げる。世界各国でモノを作ろうにも作れない、必要なものが手に入らないという状況は深刻だ。

 この状況が続けば、企業の収益は減少するだろう。早期に感染が収まればよいが、これから業績懸念が高まり、各国の株価が不安定に推移する展開は軽視できない。その状況が続けば、収益・財務の両面で事業の継続が難しくなる企業が出てくるはずだ。特に、韓国のように輸出に依存して経済を運営させた国の先行きはかなり見通しづらい。そのため、資金が一気に流出し始めている。

 また、韓国をはじめ世界的に金融政策が限界を迎えている。新型コロナウイルスによる経済への下押し圧力を緩和するため、日米欧の中央銀行が資金供給を強化している。ただ、世界的な低金利環境下、追加の金融緩和手段は限られている。マイナス金利への忌避感も強い。世界経済全体で需要と供給の落ち込み懸念が高まる中、量的金融緩和などの非伝統的な金融政策が進められたとしても、投資家がリスクをとることは難しい。

 世界経済を支えてきた米国でさえ、トランプ大統領が景気後退のリスクが高まっているとの認識を示してしまうほど状況は厳しいとみられる。世界の実体経済と金融市場の両面において不安定感が増している。