220万人のフォロワーを巻き込み、死について考えるムーブメントを作った4コマ漫画『100日後に死ぬワニ』。しかし、最終話掲載直後にグッズ販売など、今後の商業展開を怒涛の勢いで発表したことで、感動ムードは一変。「電通案件ではないか」と大炎上した。しかし、一連の流れを丁寧に検証していくと、電通案件とは考えにくい3つのポイントがある。(マーケティングコンサルタント 新山勝利)
感動から一転
“電通案件”と大炎上
漫画家・イラストレーターの、きくちゆうき氏が、自身のTwitterで連載していた4コマ漫画『100日後に死ぬワニ』が3月20日、午後7時20分に100日目の最終回を迎えた。
誰も避けることの出来ない「死」をテーマに、100日後に自らが死ぬ運命を知らない主人公のワニが、仲間と暮らす日々の出来事を描いた作品である。
特徴的なのは、毎日の4コマ漫画での欄外、上部に「○○日目」、下部には「死まであと○○日」とカウントダウンが入ること。素朴でほのぼのとした独創的なタッチの世界観の中、日めくりカレンダーのごとく死が迫りくることを明確に示すギャップに、自分の日常を考えさせられる作品として共感した方も多かったはずだ。
ところが、最終話が公開された直後、「ワニ」に因んだ午後8時2分から、作者のTwitterで、いきものがかりとのコラボムービー「生きる」の公開、書籍化と映画化、グッズ販売とイベント開催が立て続けに発表された。
フォロワー220万人を巻き込み、感動のなかで「ワニくん」はTwitterトレンド世界1位にもなったが、この一連のお知らせの後に状況は一変。怒涛のビジネス展開に「電通案件」というトレンドワードも生まれ、大炎上した。
果たして、本当に電通案件なのか?マーケティングを生業としている筆者は、この一連の流れの中の「3つのポイント」に、それを読み解くカギがあると考えている。