一般の広告代理店は課題解決のプロだが、ぼくらが立ち上げたGOは事業成長のパートナーになる。立ち位置が、目指す場所がそもそも違う。

 作るのはCMだけじゃない。その事業を進めるのに最適な組織を作ったり、事業展開のアイデアを出したり、会社の名前や人事制度を考えたりもする。

 なぜそこまでするのか? 彼らは社会の変化を察知して「変わりたい。変わらなければ」という想いを胸に、ぼくらGOの門を叩いてくれるからだ。

 ぼくらは全力でそれに応えたい。「いいから行けよ」といういつもの口癖を、500万倍くらい丁寧に、大声で叫び続けたい。

 GOのクライアントに対するスタンスと、ぼくが『人脈なんてクソだ。変化の時代の生存戦略』を通して皆さんに伝えたいことの根っこは、だいたい同じだ。変化の本質を把握し、凝り固まった旧来の発想にとらわれず、躊躇なく自分を変える。そのための知識と心構えと、ちょっとした工夫を書いた。

  昨日決まったビジネスのルールが、今日はがらっと変わっている。何十年も盤石だった大企業が、ついこのあいだ起業したスタートアップにコテンパンにやられる。そんな激動の(でもクソ面白い)時代に生き残るのは、簡単なことではない。 

 だけど、もう一度言っておこう。

 生き残るのは強い者ではなく、変化し続けた者だ。

WeWorkがあるのに、シェアオフィスに参入するにはPhoto: Adobe Stock

後発としてやる意味を問い直す

 ぼくらが事業策定時からお手伝いしたプロジェクトに、三井不動産の「WORKSTYLING」がある。彼らは「働き方改革の中でシェアオフィス事業を手掛けたい」と言っていた。

 WeWork(ウィーワーク)のような先行するシェアオフィス事業者がある中で、あえて後発としてやる意味って何? と問い直すことから、ぼくらの仕事が始まった。WeWorkを知っていても、使ったことがない人はたくさんいる。使わない理由のひとつは、「あれはクリエイターとかスタートアップとかの、イケてるやつが使うものだ」というイメージがあるだろう。おしゃれすぎて、普通のサラリーマンが使える感じが、なんとなくしない。

 だったらもっと簡単に、リモートワークなんてカフェでやればいい。みんなMacBookをドヤ顔で広げている。

 ただ、会社の外で仕事をすること自体がNGである場合もある。

 ぼくはスターバックスでよくMacを広げて仕事をしている。ドヤッているつもりはない。かつて、待ち合わせをしていた超大手商社の友人が、到着するなりぼくに言った。「お前、よくスタバなんかで仕事できるな。怖くないの」。彼は、不特定多数に画面を覗かれる危険性、つまり業務上の機密漏えいをセキュリティ面から心配しているわけ。

「お前んとこ、ダメなの?」と聞くと「ありえない」という答え。まぁ、言われてみたらわかる。最近ではうちの会社もスクリーンに貼る機密情報漏えい防止シート装着を義務化しているし。
この経験から、一般的な会社員にとって「会社の外で仕事をする」のは2つの面でネックがあるとわかった。ひとつは「おしゃれすぎて、なんか遠い」。もうひとつは「カフェは危ねえ」。