一般の広告代理店は課題解決のプロだが、ぼくらが立ち上げたGOは事業成長のパートナーになる。立ち位置が、目指す場所がそもそも違う。
作るのはCMだけじゃない。その事業を進めるのに最適な組織を作ったり、事業展開のアイデアを出したり、会社の名前や人事制度を考えたりもする。
なぜそこまでするのか? 彼らは社会の変化を察知して「変わりたい。変わらなければ」という想いを胸に、ぼくらGOの門を叩いてくれるからだ。
ぼくらは全力でそれに応えたい。「いいから行けよ」といういつもの口癖を、500万倍くらい丁寧に、大声で叫び続けたい。
GOのクライアントに対するスタンスと、ぼくが『人脈なんてクソだ。変化の時代の生存戦略』を通して皆さんに伝えたいことの根っこは、だいたい同じだ。変化の本質を把握し、凝り固まった旧来の発想にとらわれず、躊躇なく自分を変える。そのための知識と心構えと、ちょっとした工夫を書いた。
昨日決まったビジネスのルールが、今日はがらっと変わっている。何十年も盤石だった大企業が、ついこのあいだ起業したスタートアップにコテンパンにやられる。そんな激動の(でもクソ面白い)時代に生き残るのは、簡単なことではない。
だけど、もう一度言っておこう。
生き残るのは強い者ではなく、変化し続けた者だ。
大航海時代は旅人を求めている
この時代の変化をキツイと捉えるか、面白いと捉えるかは、一人ひとりの感性次第。ただ、大航海時代は世界史上もっとも様々な科学技術・文化が発展した時代でもある。
盤石の大企業――電通や博報堂や三井物産など――にいた人が、そのまま会社にいれば平和に暮らしていけたはずなのに、新しい土地に行って――スタートアップに転職するなり、独立するなりして――自分の可能性を試していける。そんな意味でも、今は大航海時代だ。世の中全体が新しい問いかけ、新しい可能性、新しいビジネスチャンス、新しい市場を求めている。旅人の時代だ。
かつてヨーロッパの船乗りが新大陸を探しに海へ出た大航海時代には、様々な島や新大陸が発見されて、そこには未開の鉱脈があった。旧宗主国にいて既存の土地を守り抜いているだけでは、早晩、新大陸に逆転されてしまう。それは歴史の教科書を読み直すまでもなく、明らかなこと。
“発見”された側の新大陸たるアメリカは、旧宗主国を圧倒してのちに世界の覇権を握った。同じように、電通や博報堂で大したポジションに就いていなかった人が転職し、外資系IT企業のマーケティング本部長に就任して、かつて在籍していた会社をアゴで使っている。そんな例は、いくらでもある。
ぼくも、大手の代理店で20年以上働いている40代の局長が、同じ会社からコンサルに転職した20代の若手に対して死ぬほど気を遣って敬語で会話している地獄みたいな状況を目撃した。
「そうは言っても、会社を辞めるのはちょっと……。会社に所属したままでチャレンジできないかな」。そう言いたくなる気持ちもわかる。それこそ歴史に学んでほしい。新大陸アメリカを“発見”したコロンブスは当初、ポルトガル王室に航海の資金援助を求めたが、却下された。そこでスペインに渡り、スペイン王室の援助を得て旅立ったのだ。
ポルトガルにいたままで粘り強く王室を説得する方法もあったかもしれないが、それでは時間がかかりすぎる。時間が経てば経つほどコロンブス自身の体力は衰え、過酷な航海に耐えられなくなる。であれば、さっさと見切りをつけて、船を出させてくれる国に移住したほうが得策だったのだ。