老舗料亭の子として「心」を学び、三越入社後は「スキル」を、米国ディズニーで「仕組み」を学んだ、おもてなし・ホスピタリティのプロフェッショナル、上田比呂志氏が新著『ディズニーと三越で学んできた日本人にしかできない「気づかい」の習慣』を出版した。同書の中から、人との付き合い方、育て方など、相手の心をつかむ心くばりの方法をレクチャーする。
料亭で生まれ、三越で働き、
フロリダのディズニーへ
私は大正時代から続く料亭で生まれ、創業者の祖母と二代目女将である母から気づかいの心について教わってきました。
そこで人を楽しませる喜びを知った私は「エンターテイメントをつくる仕事をしたい」と考えるようになり、いつしかディズニーに興味を持つようになりました。日本に東京ディズニーランドができるもっともっと前の話です。
大学卒業後、勤め先は“百貨店の王”と呼ばれた三越を選びました。
もともと人を楽しませる仕事をしたいと思っていたこともありましたが、何よりも三越を選んだ理由は、「三越にはフロリダのディズニーに行ける研修制度がある」と就職活動中に知ったからでした。
運よく三越に入社でき、ディズニーに一歩近づいた。
……そう思ったのですが、現実は甘くありません。