安倍首相Photo:Reuters

 【東京】東京オリンピック・パラリンピックの2021年への延期は、減速する日本経済への新たな打撃となる。ただ安倍晋三首相は国際舞台で任期満了の別れを告げる機会を得ることになるだろう。

 新型コロナウイルスの世界的な感染流行を受け、主要な国際大会が中止や延期となる中、五輪延期の是非を巡る問題は日本でここしばらくトップニュースとなっていた。2020年7月24日の開会へ向け、これまで7年間が準備に費やされてきた。安倍氏が1年延期で合意した今、日本はその影響に直面することになる。

 ホテル会社やテーマパーク運営会社、レストラン、旅行会社といった事業者は、今夏の五輪に国内外から何十万人もの旅行客がやってくることを当てにしていた。新型コロナの感染拡大で外国人旅行客の激減に見舞われる中、五輪延期で見通しは一段と暗くなっている。

 フィッチ・ソリューションズのアナリスト、ニコラス・ソペル氏は「五輪が延期され、2020年の旅行客が55~65%減るかもしれない。これは個人消費に大きな打撃となる」と語った。