(とにかく、再検査を受けてみるしかないかぁ)

 さっそく、通勤ルート内にある評判のいい病院に予約を入れ、受診することにした。帰りの電車内でふと、喉に痰が絡んでいることに気が付いた。

(そういえば、結構いつも痰が出ているわね。それに時々血が混ざっていることがあるわ。全然、苦しくも痛くもないから気にしていなかったんだけど、あれって、もしかして血痰なのかも。てっきり鼻炎で、鼻血が出ているだけだと思っていたけど、血痰の可能性はゼロではない。そうそう、咳もときどき出るのよね。だけど誰だって、咳ぐらい出るから、軽い風邪ぐらいにしか思ってなかったわ。あぁ、でも、気にし出したらなんだか、胸が苦しいような気がしてきた)

 ドキドキしてきた。専門知識も何もない自分が、あれこれ考えてもムダなことはわかっている。だが、考えずにはいられない。

「私、健康診断で、要再検査になっちゃった。肺に影があるんですって。週明けに、さっそく行ってくるわね。でもどうしよう、肺がんだったら」

 夜、夫の芳樹さん(仮名・42歳)に話すと、一瞬絶句した後、言った。

「大丈夫だろう。俺の周囲でも、肺に影があるから要再検査とか、要精密検査って通知をもらった人はいるけど、ほとんどは異状なしだったよ」

「ほとんどは、でしょ。100%じゃないよね」

「うぅん、そうだね。でも健診は早期発見するためのものでしょ。仮に肺がんだとしても、早期発見なら大丈夫なんじゃないの」

「そうね、そうだといいけど。そうだ、私の保険、どのくらい保障してくれるのかしら。先進医療はどうだったかな」

 がさがさと書類を探し始める有華さん。そんなこんなで、落ち着かない気持ちのまま、再検査の日を迎えた。