コロナ危機でもiPhone売れるか、アップルの試練Photo:Reuters

 ラジオのスポーツ番組プロデューサーだったアダム・マイケルさん(42)は先週解雇されてからというもの、家計の見直しを徹底している。新型コロナウイルスの感染拡大がもたらした経済的苦境の中、今年の節約計画に「新型iPhone(アイフォーン)は買わない」ことを加えた。

 マイケルさんにとっては大きな変化だ。これまでは2年ごとに、スマートフォンiPhoneの新製品を家族のために4台購入してきた。だが「今はお金を使う場合ではない」と言う。

 米アップルは廉価版モデルの発表へ向けた準備を進めている。例年秋に発表する最新の旗艦モデル用に、部品も近く発注し始めなければならない。そんな中、消費者需要を巡る問題が同社に重くのしかかっている。秋に発売する各種iPhoneは総売上高のかなりの部分を占める。しかも今年は第5世代移動通信システム(5G)技術の採用もあり、消費者の大きな注目を集めると期待されていた。

 アップルの広報担当者はコメントを控えた。

 新型コロナウイルスが猛威を振るう中、飲料メーカーから航空会社に至るまで、消費者需要が最大の不確定要因として急浮上している。欧州と米国の封鎖措置はかつてない急激な景気減速を引き起こし、多くの企業が先行きを見通せずにいる。