最近まで、米カリフォルニア州北部に住むジョーさん、ジェニファーさん夫妻の脳裏をよぎっていたのは、全長15メートルの強化構造シェルターを敷地内の深さ3メートルに埋め込んだのは間違いかもしれないという考えだった。ところが新型コロナウイルスの急速な感染拡大が起き、米国中が次第にパニック状態となった。トイレットペーパーが店頭から消え、銃の売り上げは急増。新型ウイルスの世界的大流行(パンデミック)によって日常生活に大きな支障が生じ、前例のない不透明感に覆われている。「4カ月前、妻と私は『なぜあんなことをしたのか。ばかげている』という気持ちだった」と夫のジョーさん(42)。「だが今の気持ちはこうだ。『すごい。本当に役に立った』」。場所を特定されないため、夫妻は姓を明かさなかった。