下げ過程の中での
戻しに手を出すな

(1)焦って買わないこと
 相場が下げ基調に入ってくると、最初のうちはおっかなびっくりで様子を見ていた人も、「この下落はチャンス」とばかりに買いに入る人が増えてくる。しかしながら、そこで慌てて買わない方がいい。大きな暴落の途中でも何度か戻りがあるが、下げ過程の中でこうした買いが入るため、一時的に上昇するのだ。

 ところが、仮に暴落ではない、通常の調整による下げの場合は、そのまま元の水準に戻ることもある。そういう体験をすると、自分を過信してしまい、下げの途中でも買いに行くことになる。俗に言う「落ちるナイフを拾いに行く」パターンだ。これは通常の調整による下落ではない“暴落”の時には大きなけがのもとである。

 もちろん暴落かどうかは、しばらくたって結果を見てみないとわからない。したがって少し下がったくらいでは焦って買わない方がいいのだ。仮に買わずにいて、すぐに戻ったとしても悔しいとは思わない方がいい。それほどうまい具合に、下がったところを買って上がったところを売れる人などめったにいない。

 それなりの覚悟を持って、スイングトレードをする人ならともかく、普通に仕事をしている人は、そこまで相場に関わるのは大変だ。それに、暴落後の低迷時期は長く続く可能性もある。したがって、今回のような下げの場合は、しばらく様子を見ておいてもいいだろう。

(2)底値を買おうとしないこと
 焦って買わない方がいいと言ったが、ギリギリまで待って底値を拾ってやろうというのも気持ちはわかるがあまり感心しない。どこが底値かというのは、誰にも分からないからだ。

 筆者は今まで多くの個人投資家を見てきたが、完全な底値で買って、一番高値で売り抜けたという人も、確かにいることはいる。しかしながら、それはたまたまラッキーだったということであり、ただの偶然にすぎないのだ。にもかかわらず、たまたま1~2度、そんな幸運があったことで「自分は相場がうまい」と思って自信過剰になってしまい、ひたすら底値で買おうとする。

 その結果、せっかくの買い場を失ってしまうことになりかねない。買い場を失うのであればまだしも、同様に一番高値で売ろうとして売りそびれてしまうことの方が厄介だ。人は誰も高値覚えの心理が働くため、結局売れずにズルズルと株価が下がって損をしてしまうことも多いからだ。

 今回もそうだが、直前の高値から35%ぐらい下げてくれば、ほぼ底値圏に近づいたと考えてもいいだろう。自分が買おうと思っている銘柄が、概ね底値圏に来たと思われるのであれば買っておけばいいと思う。昔から相場のことわざにも「頭と尻尾はくれてやれ」というのがあるが、まさに底値で買おうとするのではなく、底値圏で買えれば十分と考えるべきだろう。