プーチン大統領Photo:Reuters

 世界の多くの国々が封鎖状態となる中、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)は、あらゆる場所で個人の自由を徐々に削り取っている。このパンデミックはまた、民主的な機構と管理手法を弱める言い訳としても使われており、こうした独裁主義化の流れは、現在の公衆衛生上の危機が後退した後も継続する可能性がある。

 ロシアでは、ウラジーミル・プーチン大統領が今月、議会に大統領の任期制限の撤廃を盛り込んだ改憲案を承認させた。これは、彼が一生大統領の座にとどまれることを保証するものだ。ちょうどこの時期には、新型コロナウイルスの脅威のためにこうした憲法改正に反対する民衆の抗議行動ができなくなっていた。

 ボリビアでは、選挙を経ていない暫定政権が、5月に予定されていた大統領選挙を取りやめた。ハンガリーでは、オルバン・ビクトル首相が、自身が発令する政令による統治を可能にし、「虚偽」を広める人々の収監を認める法律の制定を進めている。

 イスラエルでは、3月2日の選挙で過半数の議席を確保した野党による議会審議の支配を阻止するため、ベンヤミン・ネタニヤフ首相率いる与党リクードが今週、コロナウイルス危機を活用した。この戦略が功を奏し、26日に野党は分裂。その一部が大連立政府に参加する道を選んだ。イスラエル政府はまた、裁判所の閉鎖を決めることで、ネタニヤフ氏に対する汚職裁判を停止させた。この裁判は、3月17日に始まる予定だった。

 ハンガリー生まれのオランダの欧州議会議員、カティ・ピリ氏は、世界中の独裁主義的な政治家にとって、コロナウイルス危機は天の恵みになりつつあると語る。