米国では現在、2つの感染症が流行している。新型コロナウイルスと、国家的失態の発熱症状である。黒死病(ペストの大流行)の時期に、いわゆるむち打ち苦行者が罪を嘆きながら自らをむち打つ様子が欧州各地で見られたように識者や政治家は現在、コロナウイルス対策の失敗について、米国社会の病状と米国の国際的指導力の喪失を示していると厳かに宣言している。確かに米国の当初の対応には間違いがあった。米政府と地方自治体、州政府の当局者は、ドナルド・トランプ大統領が導入したウイルス対策の渡航禁止措置によって生み出された時間的余裕を、もっと有効に活用すべきだった。同措置は多くの批判を浴びたが、現在は世界中で模倣されている。この時間的余裕は、米国の検査・治療態勢をずっと良い状況に転換するのに利用できたはずだ。そして、より早期にソーシャルディスタンス(他者との距離確保)政策を実施していれば、ウイルス拡散を大幅に抑制でき、予想される死者の数を減らすこともできたはずだ。
【オピニオン】コロナ禍で米国は指導力発揮を
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