新型コロナウイルスについてまだ分かっていないことを簡単に挙げてみる。致死率、感染率、必要な人工呼吸器の数、感染がピークに達する時期、大流行の第2、第3の波が来るのか、無症状の感染者が占める割合。つまり、世界的な封鎖措置をどの程度継続する必要があるのか不明であり、そのため経済・金融面の打撃がどこまで深刻化するかも分からない。だが、こうした不確かな状況でも、投資家は転換点を探っており、「アマチュア疫学者」になることを止めていない。それには妥当な理由がある。想定より2カ月長引けば、大規模に投資した場合と皆無だった場合の差を試算することで、国内総生産(GDP)比10%の損失と推測できる。このような環境下で投資を行う方法は2つある。一つは専門家の話に耳を傾けること。米ウォール街の銀行関係者がウイルス学者をゲストに招き、顧客向けの電話会議を開くのはそのためだ。もう一つの方法は、伝説の投資家ベンジャミン・グラムやデービッド・ドッドが「安全余裕率(安全マージン)」と呼ぶ銘柄を物色することだ。極めて割安なため、最悪のシナリオさえ、すでに織り込み済みである銘柄のみを買う戦略だ。だが両方とも問題がある。