幼児教育
英会話学習などを幼児期から行う家庭が増えている。だが、伸びる子供を育てるために本当に必要なことは何か(写真はイメージです) Photo:PIXTA

新型コロナウイルスの影響により学校が休校し、家庭で過ごす子どもが増えている。こうした中、子どもの勉強不足について不安に思う親たちは多いのではないか。だが、こういう時期だからこそ、子どもと向き合う時間は貴重なもの。『伸びる子どもは○○がすごい』(日本経済新聞出版社)の著者である榎本博明氏は、早くから勉強するよりも大切なことがあると説きます。(心理学博士 MP人間科学研究所代表 榎本博明)

子供の教育は
0歳から始まる?

 早期教育全盛の時代である。多くの子どもたちが、学習塾や何らかの習い事に通っている。すでに小学校に入る前から、週に3日も4日も塾や習い事に通う子も珍しくない。

 わが子のしつけや教育について真剣に考える親の中には、こんなに幼い頃から学習塾に通わせたり習い事に通わせたりしてよいものだろうか、もっと自由に遊ぶ時間をもたせるべきなのではないかと疑問を抱く人もいるはずだ。実際、そのような相談を受けることもある。

 だが、周囲の子どもたちが学習塾や習い事に通っているのをみると、後れをとったら大変だと不安になり、心の中に疑問を抱えつつも通わせてしまう。

 一方、「子どもビジネス」を標榜(ひょうぼう)する業者の側も、あの手この手を使って世の親たちを早期教育に駆り立てようとする。

 わが子を早期教育に通わせて良かったといった体験談を発信したり、だれもが通わせているように匂わす記事を発信したりする。そうした情報があふれているため、よほどの信念をもっていない限り、早期教育を拒否することはできない。

 さらには、心理学者や教育学者、脳科学者などの話を引き合いに出し、早いうちから知的刺激を与えておかないと取り返しがつかないことになるといった感じに不安をあおる。

 私が子育てをしていた頃も、子どもビジネス業者からその手のチラシが入ったり、ダイレクトメールが来たりした。

「あなたのお子さんの教育はすでに0歳から始まっています」などといって、0歳児からの早期教育を売り込むダイレクトメールが来たこともあった。それがとくに印象に残っているのは、推薦者として、私と同業である教育心理学者の名前が記されていたからかもしれない。

 もし私が同業者でなかったら、多少の焦りを感じたに違いない。それほど巧妙な戦略が取られている。だが、私は教育心理学者としてその手の情報に精通していたため、「こんな宣伝に名前を貸して小遣い稼ぎをしているんだなあ」と思う程度で、焦って早期教育に走ることはなかった。むしろ、子どもたちと触れ合う時間を大切にした。

 このご時世、外で遊ぶのはなかなか難しいが、わが子の友だちは学習塾やいろんな習い事に通っている子が多かったため、曜日によって遊ぶ相手が違ったりしていた。私も仕事柄土日だけでなく平日も時間の自由がきくことが多かったため、子どもたちをしょっちゅう街や自然の中に連れ出し、一緒に遊んだものだった。そんなとき、わが子について幼稚園の園長先生から「いつも元気に遊び回っていて、うちの園で一番子どもらしい子どもです」と言われ、とてもうれしく思った記憶がある。