医薬品メーカー各社の優先課題は突然1つに絞られた。新型コロナウイルスだ。医薬品・医療機器産業の調査会社、インフォーマ・ファーマインテリジェンスによれば、新型コロナウイルスへの対応で、140以上の実験的薬剤治療とワクチンが世界中で開発過程にある。このうち11件は既に臨床試験の段階に入っている。他の病気の治療薬として承認済みのものを加えれば、新型コロナ向けの治療方法やワクチンの臨床試験の件数は254に上る。その多くは、大学、政府研究機関が主導しているもので、さらに数百件もの試験が計画されている。研究者たちは、通常なら数カ月かかるスケジュールを、数週間から数日単位にまで短縮している。ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)の科学部門責任者のポール・ストッフェルズ氏は「われわれがこれほど迅速に、これほどの資源を投じて、これほど短期間に開発を進めたことはかつてなかった」と述べている。